(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『ゴーン・ガール』円満な結婚生活を営むための指南ムービー(サイコ・サスペンス風味)※注!ネタバレ含みます。
『ゴーン・ガール』あらすじ
結婚5周年の記念日。誰もがうらやむような幸せな結婚生活をおくっていたニックとエイミーの夫婦の日常が破綻する。エイミーが突然姿を消したのだ。部屋は荒らされ、キッチンに残されたエイミーの大量の血痕から警察は他殺と失踪の両方の可能性を探る。憔悴した表情で行方のわからなくなった妻を心配する夫ニック、だが彼にも捜査の手が及び窮地に立たされる。妻エイミーに何が起きたのか——。
※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。
Index
- リース・ウィザースプーン主演・製作でスタートしたプロジェクト
- フィンチャーのお眼鏡にかなった破天荒女優、ロザムンド・パイク
- 夫婦生活の心得、それは“役割を演じること”
- 「人生ゲーム」「ドミニオン」…ボードゲームが意味するものとは
リース・ウィザースプーン主演・製作でスタートしたプロジェクト
『ゴーン・ガール』(14)はサイコ・サスペンス映画のフォーマットに則った作品ではあるけれども、個人的には「円満な結婚生活を営むための指南ムービー」だと解釈している。
世の中には『ブルーバレンタイン』(10)だの、『レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで』(08)だの、『マリッジストーリー』(19)だの、夫婦生活の栄枯盛衰を描いた作品がゴマンとあるようですが、赤の他人が一つ屋根の下で暮らすにあたって、本当に必要なエッセンスは何なのか?それを的確に、正確に、そして露悪的に回答した映画が、『ゴーン・ガール』なのである(キッパリ)。
原作は、2012年にギリアン・フリンが発表した同名小説。ミズーリの田舎町で、妹のマーゴ(キャリー・クーン)とバーを経営しているニック(ベン・アフレック)は、5回目の結婚記念日を迎えた朝、妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことに気づく。
『ゴーン・ガール』(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
エイミーは人気児童文学「アメイジング・エイミー」のモデルとなった有名人で、マスコミは彼女の失踪をセンセーショナルに報道。やがて、ニックの不倫が衆目に晒される事態となり、世間は彼が妻を殺したのではないか、と疑いの目を向けるようになる…というストーリー。
「これはいい映画の素材になるカモ!」とすぐさま映画化権を取得したのは、『キューティ・ブロンド』(01)で知られる女優のリース・ウィザースプーンだった(あまり知られていないが、彼女は映画製作だけでなく、慈善事業やファッションブランドも手がける、やり手実業家なのだ)。
以前からウィザースプーンは、ハリウッドが典型的な男性上位社会で、女性のキャリアアップが極めて困難であることに不満を感じていた。そこでリースは、女性の女性による女性のための映画製作を目的に、プロダクション会社パシフィック・スタンダートを設立。自らの主演・プロデュースで、『ゴーン・ガール』映画化を進める。