(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『ゴーン・ガール』円満な結婚生活を営むための指南ムービー(サイコ・サスペンス風味)※注!ネタバレ含みます。
夫婦生活の心得、それは“役割を演じること”
さてここからは、フルスロットルでネタバレさせていただきますので、ご注意ください。
結局エイミーの失踪はフェイクで、ニックに殺人の嫌疑がかかるようにトラップを仕掛けたうえで、彼女は人知れず自殺する予定だった。全ては、自分を裏切ったニックに対する復讐だったのだ。しかしモーテルの男女に有り金を全て盗られてしまい、行き場所を失った彼女は元カレのデジーに泣きつき、彼の家に匿われることになる。
やがてエイミーは、夫として不十分だったことをニックが謝罪し、妻に早く帰ってきて欲しいと訴えるのをテレビの会見で観て、彼の元に戻ることを決意。セックスの最中にデジーの喉をカッターで切り裂き、自分はデジーに誘拐されていたと嘘をついて、のうのうと我が家に戻るのだった。
『ゴーン・ガール』(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
エイミーは、頭のおかしなサイコパスではない。結婚生活に最も必要なことを知り尽くしたうえで、破綻していた夫婦関係を再び修復しようとする、極めて理知的な女性だ(元カレの首を掻っ切ってはいますが)。
では、この映画のテーマでもある“結婚生活に最も必要なこと”とは何なのだろうか?実は映画中盤で流れるエイミーのモノローグで、非常にわかりやすく語られている。ちょっと長いが引用してみよう。
「ニックも“いい女”を求めていた。だからそうなろうとした。
(中略)
“今”だけに生き、彼が望むことをした。
それなりに楽しんだ。自分の新しい面を知った。
陽気さ ユーモア 気軽さだ。
一方私は彼に知性を与え、私のレベルまで引き上げた。
“理想の男”を偽装したのだ。
お互い別人を演じて幸せだった。世界一幸せな2人。
幸せじゃないなら意味がない。
でもニックは怠け、願い下げの男に成り果てた。
それなのに無条件で私の愛を求め、お金もないのに私を故郷に連れてきた。
そしてこともあろうに、若い巨乳の“いい女”に乗り換えた。
(中略)
大人は努力すべきだ。大人は償うべきだ。大人は報いを受けるべきだ。」
そう、結婚生活に最も必要なこととは、ズバリ“役割を演じること”なのだ。