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『パニック・ルーム』主役交代に妊娠、パニックだらけの舞台裏とは?

(C)2002 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『パニック・ルーム』主役交代に妊娠、パニックだらけの舞台裏とは?

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『パニック・ルーム』あらすじ

ニューヨーク、マンハッタンの高級住宅地。離婚したばかりのメグは、娘サラを連れて、新しい引越し先の下見に出掛けた。案内されたタウンハウスは4階建て、エレベーター付き。しかしそれだけではなく、ある秘密の部屋が設置されていた。”パニック・ルーム”緊急避難用のスペースはそう呼ばれていた。ドアはひとつしかない。スプリング内蔵の自動施錠システムと赤外線センサーが装備されている。作られた目的はたったひとつ。決して誰も侵入させないこと。母子の新たな生活が始まったその晩、事件は起こった。


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コロンビアが400万ドルで買い取った超高額シナリオ



 筆者は、常々考えていた。なぜ、『セブン』(95)や『ファイト・クラブ』(99)、『ソーシャル・ネットワーク』(10)というデヴィッド・フィンチャーの華麗なるフィルモグラフィーの中で、『パニック・ルーム』(02)だけが冷遇されているのか!?いや筆者自身、映画館での初見時は「サスペンス映画としては今ひとつ盛り上がりに欠けるニャー」という感想を抱いたのは事実だ。


 しかし、18年という歳月を経て再び見直してみたところ、全然悪くない!っていうかイイ!縦横無尽なカメラワーク、的確な空間処理、骨太なサスペンス演出。全てが一級品である。フィンチャーの代表作とは言えないかもしれないが、再評価に値する一本ではないか。


 本作のオリジナル脚本を書き上げたのは、『ジュラシック・パーク』(93)、『ミッション:インポッシブル』(96)、『スパイダーマン』(02)などのメガヒット作品を手がけてきた、デヴィッド・コープ。ハリウッドきっての売れっ子脚本家である。


『パニック・ルーム』予告編


 ある日彼は、ニューヨーク・タイムズの「セーフルーム」に関する記事を目にして、天啓が閃く。かつてエレベーターに閉じ込められてしまった経験を持つコープは、「不法侵入者に襲われた家族が、セーフルームに逃げ込む話を書いたら面白いかも!」とアイディアが湧き、草稿をたった6日間で書き上げる。『パニック・ルーム』と名付けられたシナリオを買い上げたのは、コロンビア・ピクチャーズ。何と400万ドルという記録的な大金だった。


 そのシナリオは、巡り巡ってデヴィッド・フィンチャーの元へ。何せ、『セブン』やら『ファイト・クラブ』やら、複雑なプロットの映画ばかり手がけてきたフィンチャーのことだ。密室で繰り広げられるシンプルなサスペンス・スリラーに、彼は1ミリの興味も示さないだろう…と周囲は思っていたのだが、意外や意外。「これなら俺にもできる!俺なら、このストーリーを語ることができる!」と、創作意欲がスパークしたのだ。


 限られた空間、限られた登場人物、描かれるのはわずか一晩のみ。その制限のなかで映画を製作することに、フィンチャーは興奮した。150箇所にも及ぶ場所で撮影を敢行した『ファイト・クラブ』で、「ちょっと撮影してはすぐ移動」という過酷な体験をした彼にとって、ほぼタウンハウス一箇所のみで展開される『パニック・ルーム』は、逆に新鮮な題材に見えたのかもしれない。



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