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 ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側

(c)Photofest / Getty Images

ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側

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50年代の社会問題がきっかけに



 本作のあらすじをざっと説明すると、50年代の米ボルティモアを舞台に、不良グループと、ある程度裕福な家庭に育った優等生グループとが対立しながら、その間でロックンロールに満ちたラブストーリーが育まれていく————というもの。いわば、ボルティモア版「ロミオ&ジュリエット」だ。


 着想の源泉となったのは、ウォーターズ自身の少年時代の記憶。当時、戦後に様々なカルチャーや価値観が勢いよく芽吹き始める中で「若者たちの不良化」が社会問題となり、よく新聞を賑わせていたようだ。周囲では若者らが新たな事件を引き起こすたびに「不良になるとあんな末路を辿るんだね、怖いね」という言葉が繰り返されたという。

 


『クライ・ベイビー』(C) 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.


 ちなみに、当のウォーターズ監督は比較的恵まれた家庭の出身。彼にとって不良たちの存在は、一つ境界線を隔てた「あっち側の世界」だったはずだが、本作での彼は決してワルを”表面的なワル”には描かない。むしろ自分が足を踏み入れることのできなかった世界ゆえの憧れを、吐露するかのように、ウォーターズは本作で先入観を取り払って、不良たちの内面へと潜り、意外と優しく、礼儀正しく、繊細で、仲間のことを思いやる魂を躍動感たっぷりに描いてみせるのである。



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