1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. クライ・ベイビー
  4. ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側
 ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側

(c)Photofest / Getty Images

ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側


Index


カルトの帝王の華麗なる変移



 映画監督ジョン・ウォーターズにとって、1972年公開の『ピンク・フラミンゴ』は大きな転機をもたらす作品となった。故郷のボルティモアで仲間とともに悪趣味な映画を作り続けてきた彼は、本作で一気にその名を天下に轟かせ、世界的なカルトの帝王へと昇り詰めたのだ。


 とはいえ、彼の映画がかかるのはマニアックな映画館や上映会ばかり。普段からお行儀よく暮らしている良い子にはほぼ無縁の、マイナーな世界と言っていい。おそらくウォーターズ自身も、自分が家族向けのメジャー作品を手掛けることは一生ないものと、タカをくくって生きてきたに違いない。


 だが、人生に「絶対」など存在しないのだと改めて実証されたのが88年。この年、ウォーターズの監督作『ヘアスプレー』が全国規模のメジャー公開を遂げ、しかも全米79を数える上映館は、翌々週には227館にまで拡大するヒットを記録する。当然ながらここには、主人公が犬のマジ・ウンコを食べるような(from『ピンク・フラミンゴ』)やばい描写は一切なく、とにかくウォーターズは世界に向けて、自分がメジャーでも全然輝ける存在であることを見事に証明してみせたのだ。



 そしてここからが本題。『クライ・ベイビー』はウォーターズ作品としては初めて、ハリウッドの大手スタジオが絡んだ作品となった。当然ながら製作や公開の規模は前作に輪をかけて巨大となり、長年にわたって手弁当で苦楽を共にしてきた常連スタッフも、かつてない恵まれた労働条件に一同驚いたという。


 一方、キャストには若者層に訴求力のあるフレッシュな若手が求められた。と、ここで我らがジョン・ウォーターズが手にしたのは、一冊のティーン向け雑誌。ちょうどその表紙に載っていたのが当時TVシリーズ「21ジャンプストリート」で人気を獲得していたジョニー・デップだったそうで、ここに一つ運命的な出会いが生まれることとなる。



PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. クライ・ベイビー
  4. ジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』が描く、先入観や固定観念の向こう側