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『グーニーズ』面白くて当然!?若き日のヒットメイカーたちによって生まれた傑作
随所に垣間見られるクリス・コロンバス色
『グーニーズ』の脚本は、当時弱冠26歳のクリス・コロンバスだ。『グレムリン』や『グーニーズ』『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』などのアンブリン作品の脚本に携わったあとは、『ホーム・アローン』を自ら監督して世界的ヒットに導いている。その後は、大ヒット作『ハリー・ポッター』シリーズの監督・製作を手がけており、彼も今やハリウッドトップクラスのヒットメイカーだ。
クリスはスピルバーグに認められ、脚本家としてそのキャリアをスタートさせるのだが、さすがスピルバーグが認めただけあり、『グーニーズ』でもその実力をいかんなく発揮している。また、この頃からすでに、彼の手がける作品のスタイルも随所に垣間見ることができる。
『グーニーズ』のオープニングは、ギャングのフラッテリー一家の脱獄劇から幕をあける。フラッテリー一家とパトカーのカーチェイスとともに、オープニングクレジットが展開されるのだが、このカーチェイスに絡めて主な登場人物のショットが次々と差し込まれてくる。テンポの良いオープニングでサラッとキャラクター紹介までしてしまう流れは、さすがだ。
さらに驚いたのはカーチェイスの後半で、物語の中盤でキーとなる3つの岩もしっかりと登場しているのである。この辺の目配せも心憎い。もちろんスピルバーグやドナーの意見も入っているとは思うが、クリスの構成力もおおいに効いていることだろう。
『グーニーズ』 © 1985 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
また、グーニーズのメンバーであるマウスが見ているテレビに、モノクロ映画のカーチェイスが登場するのは『グレムリン』と似ているし(しかもマウス役のコリー・フェルドマンはグレムリンに出演!)、同じくグーニーズのメンバーのチャンクが話していた「水をかけると増える生き物」というホラも『グレムリン』のことだ。他にも、ブービートラップを使って悪党を撃退していくのはまさに『ホーム・アローン』だし、特に、悪党が滑ってひっくり返るシーンは『グーニーズ』も『ホーム・アローン』も全く同じである。
こう見ていくと、すでにクリス・コロンバスは26歳にして自分のスタイルを確立してるように思える。さすが未来のヒットメイカーである。
若き日のヒットメイカーたちが生み出した『グーニーズ』。このドリームチームが作ったのだから、面白くて当然かもしれない。『グーニーズ』が年月を経ても愛され、面白くあり続ける理由のひとつは、確実にここにありそうだ。
文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
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