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『恐怖のメロディ』“険しい道を登り続ける男”クリント・イーストウッド、記念すべき第一回監督作品

(c)Photofest / Getty Images

『恐怖のメロディ』“険しい道を登り続ける男”クリント・イーストウッド、記念すべき第一回監督作品

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恋愛原理主義者=サイコパス?イーストウッドの恋愛観



 クリント・イーストウッドは、 “永遠の愛を求めない男”でもある。『マディソン郡の橋』(95)をはじめ、女性とのラブロマンスを描いた作品はいくつかあるが、その恋路は最後まで全うされない。


 根っからのアウトローである彼は、女性からの恋慕を背中で受け止めつつ、その場から立ち去っていく。イーストウッド映画においてヒロインに求められるのは、泣きわめいたり罵ったりせず、主人公を黙って見送る慎ましやかな節度なのだ。


 だが『恐怖のメロディ』のイブリン(ジェシカ・ウォルター)は、それとは真逆のキャラ。異常なほど主人公に執着し、あらゆる手段を講じて彼の関心を引こうとする。彼女は、エクストリームな恋愛原理主義者なのだ。この作品は、「サイコパス女に襲われる人気DJの恐怖劇」ではなく、「永遠の愛を求めない男と、愛を妄信的に信じる女の悲劇」とも解釈できる。それは、愛に対して冷ややかなスタンスを取り続けている、イーストウッド自身の恋愛観そのものだ。



(C) 1971 Universal Studios & The MalPaso comPany. All Rights Reserved.


 デイブの恋人トビーが描いたデイブの肖像画を見てイヴリンは一言、「彼の眼はもっと冷たい」と評する。それは愛の不毛を突っ走ってきた、クリント・イーストウッドの実像を捉えた言葉ではなかったか?


 彼にとって恋愛原理主義者なんぞ、単なるサイコパスにしか過ぎないのだろう。そう考えてみると、『恐怖のメロディ』はイーストウッドの強烈な愛への拒絶が、サイコスリラーという形で昇華した作品のようにも見えてくる。イブリンが出刃包丁を片手に襲いかかるシーンは、ほとんどアルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(60)だが、イーストウッドにとって彼女は連続殺人鬼ノーマン・ベイツのような存在だったのだ。



文:竹島ルイ

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」主宰。



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『恐怖のメロディ』

Blu-ray【ユニバーサル思い出の復刻版】 : 4,200円+税

DVD : 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

(C) 1971 Universal Studios & The MalPaso comPany. All Rights Reserved.

※ 2020年10月の情報です。



(c)Photofest / Getty Images

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