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『レザボア・ドッグス』タランティーノを貫くヤクザ映画のスピリット ※注!映画の結末に触れています。

『レザボア・ドッグス』タランティーノを貫くヤクザ映画のスピリット ※注!映画の結末に触れています。


エディを撃ったのは誰だ?ファンの間で語られる謎



 注目したいのは本作のラスト。ジョー(ローレンス・ティアニー)とホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、そしてエディ(クリス・ペン)が3人で拳銃を構えて対峙する場面だ。次の瞬間、ほぼ2秒の間に3人の銃口がほぼ同時に火を吹き、それぞれが被弾して地面に倒れていく。いわゆる相討ちというやつだ。


 だがこのシーンに関してファンの間では論争が巻き起こった。「一体、誰がエディを撃ったのか?」というのである。


 改めてこの2秒間に何が起こったのかをDVDをコマ送りで再生しながら確かめてみよう。まずジョーがオレンジ(ティム・ロス)に銃口を向け、これに対してホワイトが「もし撃ったら、この銃口も火を噴くぜ」と言わんばかりの対抗措置としてジョーに銃口を向ける。すかさず父親ジョーを守るべく、息子エディは「それならば俺も」と銃をホワイトへ向ける。こうして3すくみが出来上がるが、しかしこの時点ではどの銃口もエディの方には向いていない。


 そして次の瞬間、事は起こった。まずジョーの銃が火を吹きオレンジが被弾。これを受けてホワイトがジョーを撃ち、エディがホワイトを撃つ。この後、手負いのホワイトがエディを撃てばトライアングルは完成なのだが、ここでホワイトが向き直ってエディを撃つ前に、映像の中のエディはすでに被弾しているように見えるのだ。何しろたった2秒の出来事である。俳優たちも頭で理解しながら演じるのは不可能。反射運動に身を任せたであろうことは想像に難くない。




 で、結果的に謎だけが残った。「誰がエディを撃ったのか?」。のちに出演者が語ったところによると、実はこれ、一つのミスが誘発したものだったそうだ。


 当初の予定ではホワイトがジョーを撃った後、被弾しながらも身体を回転させてエディを撃つという流れになっていた。だが、そうなる前に、エディ役のクリス・ペンの衣装に仕掛けられた火薬(被弾した時の仕掛け)が一瞬早く暴発してしまい、この構成にズレが生まれたらしい。その結果、ホワイトが撃つ前に、エディが撃たれたように映ってしまったのだ。現場でもこのミスは認識していたようだが、しかし彼らにはもう撮り直すだけの時間的余裕がなかった。そのためミステリーを残したまま、「このままでいく」ということになってしまった。


 だが、どうだろう。通常ならば批判もされかねない致命的ミスではあるものの、本作ではむしろ体の良い“ツッコミどころ”となっている感すらある。もちろん、たった2秒の中の出来事なので、観客には何が起こったか正確にはわからず、全く気にならなかった人も多いはず。もしくは、ラストへ向けてウナギのぼりのボルテージの中で思考回路はもはや吹っ飛び、観客としてただ手に汗握りながら成り行きを見守るしか術がなかった。というのも一つの真実ではないだろうか。いずれにしてもこの時点で本作は、ミスが全く気にならないほどの「圧倒的な存在」を勝ち得ていたのである。



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