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『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション

© 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション

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ジョージ・クルーニーが出演を熱望



 今、こうして20年越しに『スリー・キングス』を観ても、相変わらず豪快で、切れ味も抜群。当時まだ映画俳優として駆け出しのジョージ・クルーニーの存在感が際立ち、どれだけストーリーが砂嵐になぶられ”しっちゃかめっちゃか”になろうとも、決して芯を失わない強さがある。


 さぞ最初から「クルーニーありき」で成立した企画なのだろうと思いきや、実際は全くの逆だ。クルーニーの側から脚本に惚れ込み、熱烈なアプローチを仕掛けたとのこと。当時「ER 緊急救命室」からの新たなステップアップを望んでいた彼にとって、本作は千載一遇のチャンスに思えたのだ。


 だが、ラッセル監督はクルーニーの起用にあまり乗り気ではなかったという。そりゃ、当時は『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(97)が大酷評を喰らったばかりなので、二の足を踏んでしまうのは当然か。そんな折、ラッセルは初期の試写会で『アウト・オブ・サイト』(98)を観て、クルーニーに対する印象を改めたのだそうだ。


『スリー・キングス』© 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited.


 そうそう、本作のもう一つの見どころは、今や映画監督として大成したスパイク・ジョーンズが俳優として出演しているところ。


 実は、90年代中頃、ラッセルとジョーンズは子供向け絵本として名高い「はろるどとむらさきのくれよん」("Harold and the Purple Crayon"クロケット・ジョンソン作)の映画化に向けてチームを組んでいた。ジョーンズの監督デビュー作になるかもしれなかったこの企画は、その後あえなく頓挫。しかし二人の友情は続いていたようで、ラッセルは『スリー・キングス』で最も予測不能なキャラクター”コンラッド・ヴィグ”という役柄を、スパイク・ジョーンズ用にほぼ”アテ書き”したのである。


 修行を積んだ役者とは違う、ある意味”宇宙人”のごとき存在感を持つジョーンズの魅力は、本作の起爆剤の一つとなりえている。だが当然ながら、このキャスティング案を聞かされた時、関係者は一様に目を丸くした模様。これが本当にうまくいくのかどうかは大きな賭けだったはずだが、共演したクルーニーは彼と会ってものの5分も経たないうちに「役にピッタリだ」と感じたそうだ。




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