1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. スリー・キングス
  4. 『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション
『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション

© 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション

PAGES


Index


湾岸戦争を題材に、かつてない戦場アクションを撮る



 1990年8月、イラクがクウェートに侵攻。翌年のはじめになって、アメリカ軍を中心とした多国籍軍によるイラクへの攻撃が始まった。こうして火蓋が切られた湾岸戦争は、その後およそ一か月半ほどで停戦を迎えるわけだが、『スリー・キングス』(99)の物語はまさにその”終わりの瞬間”からスタートする。


 無事に帰還できる祝福ムードが高まる中、 4人のアメリカ軍兵士たちはイラク軍兵士が隠し持っていた秘密の地図を見つける。どうやらこれはイラク軍がクウェートから奪った金塊の隠し場所らしい。このまま本国へ帰っても大してハッピーな人生が待っているわけでもない主人公らは、戦火のドサクサに紛れてそのお宝をごっそり頂いてしまおうと動き出すのだが・・・。


 映画製作は時代の空気を敏感に察知しながら動いていくもの。80年代にあれほど作られたベトナム戦争の映画も、90年代に入って湾岸戦争やユーゴ紛争が始まるとすっかり鳴りを潜めてしまった。思えばこの頃のハリウッドは、複雑化する世界情勢をいかに映画の題材として扱うべきか、知恵を絞りながら格闘を続けていたように思う。


© 1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited.


 そんな中、96年にエドワード・ズウィック監督が手掛けた『戦火の勇気』は、湾岸戦争という題材をいち早く取り入れたシリアスな作品として評価された。


 一方、ワーナー・ブラザーズは、それからおよそ3年後に大作『スリー・キングス』を発表。ほんの8年前の戦争を題材に、コメディとドラマとアクションを掛け合わせ、エンタテインメントとして提示するーーー不謹慎と言えばそれまでだが、面白いだけでなく社会派としての骨太な要素をも兼ね備えていたところが本作の大きな特徴だった。


 これを手がけたデヴィッド・Oラッセル監督と言えば、当時『アメリカの災難』(96)で注目を集めたばかり。彼はいわゆる狂騒的で”しっちゃかめっちゃか”な筋書きや人間関係を、カオスのトンネルをくぐり抜けるかのように、いつしか確かな手応えのある結末へとまとめ上げていく手腕に定評のある人だ。


 彼は次なるステップとして、これまで以上に野心的かつ規模の大きな題材を探していた。そんな折に映画会社から提示されたのが、脚本家ジョン・リドリー(『それでも夜は明ける』(13)でアカデミー賞脚色賞を受賞)による本作の原案だ。かつて中南米に滞在した経験を持つラッセルの目には、湾岸戦争後の混乱が、ちょうど80年代の中南米と似ているように映ったらしい(トム・クルーズ主演『バリー・シール/アメリカをはめた男』(17)のような狂騒的な映画を思い浮かべると良いだろう)。ただし、湾岸戦争そのものについて詳しい知識を持たなかった彼は、長期に及ぶリサーチを経て、リドリーの原案とは全くかけ離れた脚本を執筆していくことに。




PAGES

この記事をシェア

counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. スリー・キングス
  4. 『スリー・キングス』 撮影現場の混乱を、生々しくスリリングな臨場感へと昇華させた異色の戦争アクション