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『アウト・オブ・サイト』スティーヴン・ソダーバーグのキャリアを救った、エルモア・レナード原作の犯罪コメディ

Fim (C) 1998 Universal Studios. All Rights Reserved.

『アウト・オブ・サイト』スティーヴン・ソダーバーグのキャリアを救った、エルモア・レナード原作の犯罪コメディ

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映画人に愛される要注意作家=エルモア・レナード



 『アウト・オブ・サイト』(98)はスティーヴン・ソダーバーグのキャリアを救った。ソダーバーグといえば史上最年少でカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝き、商業映画と実験的挑戦の間を自由に行き来する名監督だが、『アウト・オブ・サイト』のオファーが飛び込んでくるまで、文字通りキャリアのドン底にいたのだ。落ちぶれた“若き天才”は、いかにして犯罪コメディの傑作をものにしたのか? ソダーバーグ本人も「こんなことが自分にできるとは思わなかった」と語る《奇跡の大逆転》の話をしたい。


 しかし『アウト・オブ・サイト』を語るには、まず原作者のエルモア・レナードについて説明すべきだろう。


 『アウト・オブ・サイト』は、銃を持たないことが自慢の銀行強盗ジャック・フォーリー(ジョージ・クルーニー)と、連邦捜査官のカレン・シスコ(ジェニファー・ロペス)が、追いつ追われつの立場でありながら惹かれ合ってしまう物語だ。そこにクセの強い小悪党たちの思惑が絡み合い、ある実業家の隠し財産の強奪計画になだれ込んでいく。この「緩やかに絡み合う小悪党どもの群像劇」というスタイルこそ、原作者エルモア・レナードの十八番なのである。



 ソダーバーグは『アウト・オブ・サイト』の脚本を読んで寄り道だらけのプロットに惹かれたそうだが、同じくレナードが書く独特の世界観に魅了された映画人は多い。その筆頭に挙がるのがクエンティン・タランティーノで、レナードの熱狂的ファンを公言し、レナードの犯罪小説からの多大な影響を受けた『パルプ・フィクション』(94)の後に、満を持してレナードの長編小説「ラム・パンチ」を『ジャッキー・ブラウン』(97)として映画化している。


 しかしプロットに「寄り道」が多く、緊張とユーモアが交互に繰り出されるレナード作品の映像化は、失敗する確率が非常に高い。寄り道をそのままトレースしようとすれば冗長に見えてしまい、ユーモアとシリアスの振れ幅が大きいのでバランスが取りづらい。予測不可能というと聞こえはいいが、王道の構成では収まらないのでクライマックスを盛り上げづらい。ここで失敗作の名前を挙げてあげつらうことはやめておくが、レナード作品の映画化は、手を出すと大火傷をしかねない取扱注意物件なのだ。



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