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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』タランティーノが万感の想いで描く、映画界の激変期“1969年”へのラブレター

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』タランティーノが万感の想いで描く、映画界の激変期“1969年”へのラブレター

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※2019年7月記事掲載時の情報です。


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タランティーノ史上、最もユニークで感情がこもった傑作



 1969年、ロサンゼルス。半世紀前の映画の都がいま、眩く差し込む陽光のもとで鮮烈に息づき始める。クエンティン・タランティーノにとって9回目の監督作は、タイトルからしてセルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム』シリーズから引用したものであることは明らかだが、かといって荒くれ者やマフィアたちの抗争が延々と繰り広げられる類の映画というわけではない。


 彼はこれまでも脳内に蓄積した映画知識をコペルニクス的発想で融合し発展させ、幾度となく人々を歓喜、驚嘆させてきた。今回は特に執筆に5年をかけただけあり、この街や映画への想いを濃密なまでに注ぎ込み、かつてないほどオリジナルで、まさに「タランティーノ的」としか形容しようのない一大絵巻へと結実させている。



 しかも今回組んだプロデューサーは、『ハリー・ポッター』(01-11)シリーズや『パディントン』(14)、『ゼロ・グラビティ』(13)などで知られるデヴィッド・ハイマンというから驚きだ。彼が「クエンティン作品の中でも極めてユニークかつ最も感情がこもった作品」と手放しで称賛するだけあり、本作には映画を愛するあらゆる人の心を打つ、打たずにはいられない、何かしら神がかった力が感じられるほどだ。


 それは2時間41分という長尺の中で変幻自在に形を変え、時に笑わせ、また時に胸を震わせもする。一方、先の展開が皆目予測できないだけに、上映中ずっと頭の片隅で微かなアラーム音が響き続けるのも事実。バックシートに乗り込んだ我々は一体どこに連れて行かれるのか。この映画が終わる頃、我々はどんな表情で席を後にするのだろうか。



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