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『リオ・ブラボー』タランティーノも絶賛する、エンターテインメント西部劇の決定版!

『リオ・ブラボー』タランティーノも絶賛する、エンターテインメント西部劇の決定版!


 クエンティン・タランティーノ監督のお気に入り西部劇といえば、まず名前が挙がるのが『リオ・ブラボー』(59)である。彼はかつて、女性と交際を始める前にはこの映画を見せて、反応が悪ければ別れることにしていたと発言している。


 そんな悪趣味な“儀式”を行わせるほどの魅力とは何なのだろうか。ここでは、その凄まじいほどの『リオ・ブラボー』の娯楽性と、作品がそこに行き着いた理由を解説していきたい。


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『真昼の決闘』対『リオ・ブラボー』



 ゲイリー・クーパー主演、フレッド・ジンネマン監督による西部劇映画『真昼の決闘』(52)は、映画史に残る傑作西部劇と位置付けられている。


 その特徴は、社会派作品かと思うほど過酷なドラマが描かれているという点である。クーパー演じる、町を守る正義の保安官と、復讐をたくらむ4人の悪漢が対決するという設定。自分を狙う4人が列車に乗って正午に町へと到着することを聞き、保安官は町の人々に加勢を求めるが、みな命が大事で協力してくれる者はいない。誰もが正義の側についてくれないのだ。


 そのラストでも意図的に後味の悪さを残している、この皮肉な作品は、ハリウッドでも吹き荒れた共産主義者を排除しようとするアメリカの“赤狩り”の惨状を風刺したとも考えられている。自分が守っている人々に裏切られる保安官の姿を描くことで、従来の西部劇のイメージを破壊し、むしろ西部劇で描かれてきた“保守的”な価値観に反逆するような、リベラルな思想をとり入れたことから、『真昼の決闘』は驚きをもって迎えられ賞賛されたのだ。


 だが、それに不満を持つ者たちがいた。西部劇の代表的スター、ジョン・ウェインと、ハリウッドで様々なジャンルの映画作品を撮り、西部劇にも携わってきた名匠ハワード・ホークスである。監督作『赤い河』(48)において、新しい時代を象徴する俳優モンゴメリー・クリフトと、古い時代の思想を象徴するジョン・ウェインを対決させ、その両者を称えているように、ホークスは時代感覚を持ちながらも、“旧き善きアメリカ魂”を信じていた人物である。




 陰では差別的発言も多く、『赤い河』撮影現場で、ホークスとウェインがあまりにも粗野な言動を繰り返していたことに、モンゴメリー・クリフトは嫌気がさしていたという逸話が残っているし、またホークスに見出された女優ローレン・バコールは、彼のユダヤ人を蔑視したものいいを著書で暴露してもいる。


 そんなウェインとホークスが、『真昼の決闘』に賞賛が集まる状況を快く思うはずはない。一般市民に助けを求めるような、同作における保安官の惰弱さを批判していたホークスは、4年間映画の制作からは離れていたものの、自分こそが本物の西部劇を作るという意気込みで、ウェインを主演に迎えて、『真昼の決闘』に対抗する西部劇である本作、『リオ・ブラボー』を撮りあげたのだ。



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