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『リオ・ブラボー』タランティーノも絶賛する、エンターテインメント西部劇の決定版!
『リオ・ブラボー』の思想を超えた先進性
だが、その後西部劇は衰退の一途をたどることになる。『真昼の決闘』がジャンル自体を否定したように、“旧き善きアメリカ魂”は、時代にそぐわないものとされ、観客の興味はより現代的なアクションや、アメリカン・ニューシネマなどへ移っていく。そしてマカロニ・ウェスタンも70年代には下火になっている。
ジョン・ウェインもハワード・ホークスも、自分たちの感性が時代遅れになりつつあることを、頭のどこかでは理解していたのだろう。だからこそ彼らは、ここまで『真昼の決闘』に反発し、西部劇でひたすら楽しい娯楽作を作り上げようとしたのかもしれない。
彼らには、ハリウッドで培った技術と実績がある。本作でチャンスの励ましによって、アルコール依存のどん底から甦る保安官補デュードの姿は、ジョン・ウェインやハワード・ホークスが引き継いできたものを次代へと継承し、再び花開かせるという行為に見える。
『リオ・ブラボー』予告
良くも悪くも、西部劇というジャンルは現在廃れてしまっている。現在作られる新作も、ほぼ“旧き善きアメリカ”の暴力性を断罪するような、『真昼の決闘』型作品ばかりである。『真昼の決闘』対『リオ・ブラボー』の戦いは、思想的な意味で最終的に前者に軍配が上がったといえよう。
だが本作の先進性は、娯楽性を極度に追い求めた部分にある。そんな『リオ・ブラボー』の精神は、暴力的だがリベラルな作風でもあるクエンティン・タランティーノなどをはじめ、ジャンル映画を新しい方向へと進ませる作家たちへと引き継がれた。そして映画の“味わい”を求める観客にとって、本作は『真昼の決闘』よりもなお輝きを放っているのだ。
文: 小野寺系
映画仙人を目指し、さすらいながらWEBメディアや雑誌などで執筆する映画評論家。いろいろな角度から、映画の“深い”内容を分かりやすく伝えていきます。
『リオ・ブラボー』
DVD ¥1,429 +税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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