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『リオ・ブラボー』タランティーノも絶賛する、エンターテインメント西部劇の決定版!

『リオ・ブラボー』タランティーノも絶賛する、エンターテインメント西部劇の決定版!

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旧き善き時代へのあこがれ



 『リオ・ブラボー』の設定は、『真昼の決闘』とそっくりだ。保安官チャンス(ジョン・ウェイン)は、ある殺人犯を逮捕するが、その兄はメキシコ国境近くにある町の一帯を牛耳る人物であり、弟を取り返すために多勢をもって保安官事務所を襲撃にくるのである。味方をするのはアルコール依存症の保安官補(ディーン・マーティン)、牢屋番のじいさん(ウォルター・ブレナン)、そして若造の助っ人(リッキー・ネルソン)のみだ。そして脚線美で知られるアンジー・ディキンソンが画面に華を与える。


 なかでも、アルコール依存症での保安官補デュードは、酒場に寄っては金もないのに酒をねだるため、チンピラにもバカにされていて、タンツボに放り込まれた硬貨すら拾おうとする負け犬である。だが全くの役立たずだと思っていた彼は、酒が抜けると有能さを発揮し、早撃ちを披露する。




 筆者は、本作を劇場で鑑賞しているが、最も感激したのは銃撃の音である。戦いの緊迫感を一瞬にして破り、脳天を突き抜けるように大音量で響く暴力的な破裂音。これを聴けば、当時の観客たちがなぜ本作に、そして西部劇に熱狂できたのかも理解できるのである。


 とはいえ、例によってライフルを振り回す、ウェイン演じる巨漢の保安官チャンスを含め、荒唐無稽なまでの強さを発揮するキャラクターはいない。あくまで敵との数の差を、状況を利用しながら頭脳と作戦、そして勇気によって埋めていくチャンスたちの戦いは、“何となく勝つ”というようなことはなく、納得できる論理性がある。だから、アクションまでに至る描写の多くがアクションの一部としても機能しているのだ。


 シリアスな雰囲気の『真昼の決闘』と大きく異なるのは、劇中にユーモアが多く存在することだ。ウォルター・ブレナンが気のいい老人をひょうきんに演じていたり、ウェイン演じるチャンスが、紐で転ばされて昏倒したりと、死の危険を前にしたシチュエーションにも関わらず、何かほのぼのとしたムードが流れる。これはジョン・フォード監督の西部劇にも共通する、おおらかな時代への郷愁や憧れ、つまり“偉大なるアメリカ”の魂の表出でもある。そしてそれは、終始居心地の悪さを意図的に表現していた、現代的な『真昼の決闘』とは、やはり逆の試みなのである。



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