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『恋人たちの予感』監督ロブ・ライナー×脚本ノーラ・エフロン、ラブコメ映画の金字塔はどのようにつくられたか

(c)Photofest / Getty Images

『恋人たちの予感』監督ロブ・ライナー×脚本ノーラ・エフロン、ラブコメ映画の金字塔はどのようにつくられたか

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『恋人たちの予感』あらすじ

皮肉屋で冷笑的なハリー・バーンズ(ビリー・クリスタル)と、陽気で完璧主義のサリー・オルブライト(メグ・ライアン)。1977年に出会ったふたりの第一印象は最悪。5年後、再会しても悪印象は変わらない。そして10年後、再び出会ったふたりは互いにパートナーとの破局を経験したばかり。犬猿の仲だったはずのふたりは意気投合し、無二の親友となるのだが…。


Index


ラブコメ映画の定番=女と男の本音合戦



 女と男が、互いの本心を探り合い、赤裸々に本音をぶつけあう。2000年代、ラブコメの定番ネタといえばまさにこれだった。『ハート・オブ・ウーマン』(00)、『10日間で男を上手にフル方法』(03)、『最後の恋のはじめ方』(05)、『男と女の不都合な真実』(09)をはじめ、この手の映画が山のようにつくられた。発端はやはり『セックス・アンド・ザ・シティ』(98〜)だったように思う。このドラマが「女の本音トーク」を一流のエンタメに昇華し、一方で、男女は絶対にわかりあえないからこそおもしろい、という定説を世に刻みつけたのだ。


 だが女と男があけすけに本音を語り合う映画の草分け的存在といえば、『恋人たちの予感』(89)を忘れてはいけない。主人公は、皮肉屋で冷笑的なハリーと、陽気で完璧主義のサリー。サリーを演じたのは、その後ラブコメの女王として君臨することになるメグ・ライアン。ハリー役は、スタンダップコメディ出身のビリー・クリスタル。1977年に出会ったふたりの第一印象は最悪。5年後、再会しても悪印象は変わらない。そして10年後、再び出会ったふたりは互いにパートナーとの破局を経験したばかり。犬猿の仲だったはずのふたりは意気投合し、無二の親友となる。


『恋人たちの予感』予告


 物語を成り立たせるのは、あるひとつの疑問。果たして男女は友人になれるのか? 絶対になれない、と主張したのはハリー。女と男の間には常にセックスの問題が立ちはだかるからだ。サリーは、何を馬鹿なことを、と呆れかえりながらも、セックス抜きの関係を築くことには同意する。そうしてふたりは、本音をぶつけあいながら友情を育んでいく。


 今では「男女は友情を築けるか」という問いは時代遅れに思える。そもそも男の考えはこう、女の本音はこう、と分けること自体馬鹿げている。とはいえ、映画がつくられたのは今から30年以上前。この時代に、両者の主張をどこまでも平等に言い合うさまをコメディに仕上げたこと、何よりセックスの問題を堂々と女に語らせたのは、やはり驚くべきことだと思う。




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