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『MINAMATA―ミナマタ―』水俣とユージン・スミスを癒した、魂を撮るために注がれる視線

© 2020 MINAMATA FILM, LLC © Larry Horricks

『MINAMATA―ミナマタ―』水俣とユージン・スミスを癒した、魂を撮るために注がれる視線

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原作は写真集



 映画『MINAMATA―ミナマター』は、報道写真家W・ユージン・スミスと彼の当時の妻アイリーン・美緒子・スミスが1975年に発表した写真集「MINAMATA」を原作としている。写真集を原作とする映画は珍しいが、鑑賞すればすぐにその意味が腑に落ちる。ユージン・スミスが世界を震わせた一枚の写真を撮るまでの過程を描いた映画だからだ。


 かつて雑誌「LIFE」などで数々の傑作フォトエッセイを発表し、「世界で最も偉大な十人の写真家」にも選ばれたこともあるユージン・スミス。1971年、栄光は過去のものとなり、彼は酒に溺れていた。そんなユージンはある日、日本のCM撮影のコーディネートをしていた女性、アイリーンと出会う。彼女から日本で大企業チッソの排水によって多くの住民が病に苦しんでいることを知らされ、ユージンとアイリーンは熊本県水俣へ取材に向かうことになる…。


『MINAMATA―ミナマター』予告


 ジョニー・デップがユージン・スミスを演じた本作を鑑賞するにあたり、身構えざるを得なかった。アメリカのスタッフによって映像化される日本戦後史の重大事件は、どのような印象を観客に与えるのか。ハリウッド映画では、誤解に基づく日本描写が問題視された作品も少なくない。しかも本作のような、今も続く公害問題を扱う際は、なおさら要求される表現のハードルはあがってしまう。


 しかし不安は杞憂だった。物語は報道写真の至高と称される「入浴する智子と母」を撮影するにいたるまでのユージン・スミスの心の動きを丹念に追い、公害を引き起こし隠ぺいしようとする人間への警鐘と、一人の写真家の魂の癒しを見事なバランスで描いていた。それは、本作がジョニー・デップというスター俳優を中心点としながら、ハリウッド映画らしからぬ、ルックと空気感をまとうことに成功したことが大きな要因となっている。





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