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『The Hand of God』パオロ・ソレンティーノが若者たちに捧げる郷愁と希望の自伝映画

Gianni Fiorito

『The Hand of God』パオロ・ソレンティーノが若者たちに捧げる郷愁と希望の自伝映画

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撮影監督もナポリ出身者に



 本作でソレンティーノは、『愛の果てへの旅』(04)から前作『LORO 欲望のイタリア』(18)までの全作品でコンビを組んできた撮影監督のルカ・ビガッツィ(ミラノ出身)と別れて初めて、監督、脚本家で撮影監督でもあるダリア・ダントニオにカメラを託している。彼女が同じナポリ出身だからだ。


 ダントニオはソレンティーノの記憶だけに頼ることなく、同郷人としての感情を確認し合いながら撮影に臨んだという。偶然だが2人とも、中流家庭出身であることも大きかっただろう。結果、家族全員が頻繁に集いバカンスを過ごす雰囲気などは、細かな説明なしに撮影することができた。ダントニオはそう振り返る。撮影監督と思い出を共有するという、ソレンティーノにとって初めての試みは、全編を通してうまく機能していると思う。



『The Hand of God』Gianni Fiorito


 ファビエットがスクーターの後部座席に両親を座らせて走るシーンは、ソレンティーノが最も愛する思い出の一つに違いない。彼の両親は結婚して数十年は経っているのに、今でも2人だけに通じる口笛で愛を確かめ合っている。父親のサヴェリオを演じるトニ・セルヴィッロはソレンティーノ作品の常連で、ナポリと同じカンパニア州にあるアフラゴーラ出身だが、母親マリア役のテレサ・サポナンジェロ、パトリツィア役のルイーザ・ラニエリ、そして、主人公ファビエットを演じたフィリッポ・スコッティは、全員ナポリ出身。カンパニアの海の匂いを漂わせる彼らは皆、ソレンティーノのお眼鏡に叶った生粋のナポリっ子たちだ。




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