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『Dr.パルナサスの鏡』 巨匠ギリアムと仲間たちの奮闘によって完成した、ヒース・レジャー最期の作品

(c)Photofest / Getty Images

『Dr.パルナサスの鏡』 巨匠ギリアムと仲間たちの奮闘によって完成した、ヒース・レジャー最期の作品

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ヒース・レジャーの死を乗り越えるために



 ギリアムとレジャーは『ブラザーズ・グリム』(05)で意気投合したのをきっかけに、心から信頼しあえる友人関係を築き上げてきたという。それゆえレジャーの死は、心が引き裂かれるほどショッキングなものとしてギリアムの身にのしかかった。


 だが、その数日後のまだ悲しみを引きずる中で、同じく親友のジョニー・デップと電話で話をしたことが運命を大きく変える。デップは自分にできることがあれば協力を惜しまないと申し出てくれ、その言葉によってギリアムの暗く落ち込んだ心に初めて希望の光が差し込んだ。



『Dr.パルナサスの鏡』(c)Photofest / Getty Images


 ギリアムはよろよろの状態から立ち上がり、撮影済みの映像や脚本を吟味しながら、どういうアイディアならばこの巨大な損失を埋めてレジャーの遺作を完成させられるのか、試行錯誤を開始した。そして例によって、いつしか体内を駆け巡りはじめたアドレナリンはギリアムの脳を活性化させ、その果てに、大胆極まりないアイディアを射し込ませることになる。


 思考の流れはこうだ。物語の中でヒース・レジャー演じる”トニー”という役柄は、3回にわたって鏡の世界へ足を踏み入れる。ただし、現時点で撮影済みなのはロンドンで展開する現実シーンだけ。鏡の中のシーンはまだ全く撮っていない。ならばこの先、トニーが鏡に入るたびに、レジャーの顔が別人のように変化するというのはどうだろうかーー。





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