Index
- ブレない、妥協しない、童心を忘れない。映画界の至宝、テリー・ギリアム
- 『未来世紀ブラジル』への足がかりとなったヒット
- 兜を脱いだその顔は、ショーン・コネリー
- 男の子たちには好評だった前代未聞の描写(※物語の結末に触れています)
- 上映トラブルとアンケート結果が救ったギリアムの創造性
ブレない、妥協しない、童心を忘れない。映画界の至宝、テリー・ギリアム
テリー・ギリアムの映画はいつも僕らをドキドキさせてくれる。それは何も映画のクオリティがどうだとか、批評的に見て優れているとかいうレベルの話ではない。そういう物差しでは計れないほど、彼はこの数十年にわたって一貫して唯一無二であり続け、この商業主義の時代において安易な妥協を許さず、自分自身が「面白い!」と感じるものだけをひたすら追い求めてきた。
彼は自らの映画作りについてこう述べている。
「映画を撮る時はいつも童心に返っている。ハラハラドキドキしっぱなしで、一体どこへ進んでいくのかわからない。僕の映画は全部そうだ。ある地点をひたすら目指しながらも、途中で思いがけない迷走が始まる。最終的に目的地には着くんだけれど、そこまでの過程はまさにごちゃごちゃ、波乱万丈。おそらく、自分や観客の予想を大きく超えたいという気持ちが人一倍強いんだろうね」(『バンデットQ』DVD収録インタビューより)
もっと柔軟に、妥協を重ね、臨機応変にやれる手はあるのかもしれない。が、そうなればギリアムはギリアムではなくなる。柔軟性や臨機応変とは全く真逆のところに彼はいて、面白いものを作るため、自分の心を決して偽ることなく常に戦い続けている。その意味において、これほど期待を裏切らない映画監督は他にいないだろう。