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『バンデットQ』トラブルを伝説に変えてしまう、テリー・ギリアムの創造性とは

(c)Handmade Film Partnership 1981

『バンデットQ』トラブルを伝説に変えてしまう、テリー・ギリアムの創造性とは

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男の子たちには好評だった前代未聞の描写(※物語の結末に触れています)



 とはいえ、完成した『バンデットQ』は、クライマックスに非常に危なっかしい問題を抱えていた。今でも語り草になっている、「両親が吹き飛ばされる」というダークでシュールな場面である。プロデューサーの一人は「こんなの前代未聞だ。ヤバいから修正しよう」と主張したが、ギリアムは「誰もやったことがないからこそ、やる意味がある!」と譲らなかった。両者は平行線をたどり、埒があかなかったので、とりあえず子供だけの試写会を開催し、反応を見ることになった。


 そうして最初に出口から出てきた少年に「どこが面白かった?」と聞くと、返ってきた答えは「親が吹き飛ばされるところ!」。どうやらヤンチャな年頃の子供らにとってこれらの描写が意外と好評らしいことが判明する。



『バンデットQ』(c)Handmade Film Partnership 1981


 ちなみに断っておくと、吹き飛ばされる両親は自分たちの快楽に溺れるばかりで我が子のことを微塵も省みることがない。「そんな悪い親は吹っ飛んでしまえ!」という観客側の思いを、この結末はストレートに叶えてくれるものだったのかもしれない。


 ちなみに同様の質問をある女の子に投げかけると、「主人公はこの先どうやって生きていけばいいの?」という非常に現実的な意見が返ってきたとか。ギリアムはそれを「母性本能の現れなのかな」と分析しつつ、自分の表現がこうして千差万別に受け止められることを非常に面白く感じたという。



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