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『12モンキーズ』ギリアム流タイムトラベルに埋め込まれた、ヒッチコック『めまい』の遺伝子

『12モンキーズ』ギリアム流タイムトラベルに埋め込まれた、ヒッチコック『めまい』の遺伝子

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情熱と、陶酔と、意表をついたタイムトラベルと



 タイムトラベルは人類にとっての積年の夢。ゆえにそのテーマを扱ったSF作品は歴史上数多く生まれてきた。H・G・ウェルズの小説「タイムマシン」は様々な作品に絶えず影響を及ぼしてきた発想の源泉とも言うべき作品だし、映画に絞っていえば、デロリアン号と共に駆け巡る『 バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作は史上最も知られたタイムトラベル物。超大作でありながら、人々に「ありえるかもしれない過去・現在・未来」について等身大のサイズで考えるきっかけをもたらした。


 一方、たいそうなタイムマシンがなくとも時空は飛べる。その時代のコインを見つめるだけで時間旅行できる『ある日どこかで』(80)のようなSFラブロマンスが存在すれば、『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(13)ではクローゼットの中で両手のこぶしをギュッと握って念じるやり方も登場する。もしかすると時間旅行をめぐる作品には、最新技術を駆使する「テクノロジー型」と、何か装置を用いずとも念じたり陥ったりできる「意識集中/陶酔・めまい型」に分かれるのかもしれない。


 では90年代に生まれた『12モンキーズ』はどうかというと、主人公がキー・ステーションとなる未来から過去へと送り込まれる様は、まさに総力を結集した「テクノロジー型」。しかしそこにはなぜか技術という言葉だけでは片付けられない「陶酔・めまい型」のエッセンスも滲み出ている。そのアナログともデジタル、現実と妄想の境界線もわからぬ微妙なニュアンスこそ、この映画の大きな特徴といえよう。




 この独特の持ち味はどのようにして獲得されたのか。もちろん、全編を彩るアルゼンチン・タンゴの調べ、壁に描かれた不気味な猿たちのグラフィティ・アートも、唯一無二の雰囲気をもたらす隠し味だ。と同時に、本作を紐解こうと思うなら、物語に大きな影響をもたらした二本の映画の存在を決して忘れてはならない。



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