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『バロン』大失敗作なんかじゃない! 苦難を越えて辿り着いたテリー・ギリアム監督作の芸術性とは?

『バロン』大失敗作なんかじゃない! 苦難を越えて辿り着いたテリー・ギリアム監督作の芸術性とは?

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『未来世紀ブラジル』を超える大波乱を巻き起こした問題作



 映画界広しといえども、テリー・ギリアムほどの確固たる芸術性を持つ人はそういない。唯一無二を誇る彼の才能を最大限に生かそうとするなら、自由なクリエイティビティを与えることが不可欠。しかし一方で、ギリアムは全てを俯瞰したり、長期的なスキームを組んでプロジェクトに臨むことはどうも苦手のようだ。そのため、こういったマネジメントを他人任せにして目の前の制作に没頭した結果、気がつくととんでもない状況に陥っていた・・・なんてことも少なくない。


 ギリアムの映画人生にはこういった逸話が盛りだくさんだ。試しに伝説的なトラブル作をランキング化するなら、1位は何と言っても完成までに20年以上を要した『ドン・キホーテを殺した男』(18)。3位はスタジオとあくなきバトルを繰り広げた『未来世紀ブラジル』(85)。そしてこれらの真ん中に位置するのが、今回ご紹介するファンタジー超大作『バロン』(88)である。


 この映画はよく「映画史に残る失敗作」などと笑われる。が、今こそ問いたい。本当に愚にもつかない失敗作と呼べるのだろうか。そして当時、制作の舞台裏ではいかなる事態が勃発していたのだろうか。



 『バロン』の舞台は18世紀末のドイツ。トルコ軍の猛攻撃を受ける町の劇場では、旅の演芸一座が「ほら吹き男爵の冒険」を上演している。その最中、一人のご老人がサーベルを振り回し「我こそは、ほら吹き男爵ことミュンヒハウゼン本人である!」と乱入。そこから真実なのかホラ話なのか分からない、奇想天外な昔話が語られ始めるのだが・・・・。


 一説によると、本作はそもそもギリアムが愛娘のために発案したものだとか。ダークでクレイジーな『未来世紀ブラジル』の直後ということもあり、今回こそは娘のベッドタイム・ストーリーにふさわしい極上のファンタジー映画にしたいという思いがあったのだろう。少なくとも最初はそのはずだった。でも本作は途中から泥沼にはまり込み、誰もが想像もしなかった大混乱へ陥っていくこととなる。



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