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ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』新世代が迫る新たなオードリー像

©PictureLux / The Hollywood Archive / Alamy Stock Photo

ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』新世代が迫る新たなオードリー像

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コメンテーターとして新鮮な顔ぶれが登場



 描かれるエピソードの多くは、これまであまり表舞台に登場しなかった縁の人々のコメントが手がかりになっている。そこが本作のポイントだ。出演者のプロフィールを紹介すると、イタリアの人権活動家でジャーナリストでもあるアンナ・カタルディ、ユニセフの写真家ジョン・アイザック、家族ぐるみの友人だったという女優のミタ・ウンガロ、同じく俳優のピエルルイジ・オルネス、オードリーの数少ない親友の1人だったコニー・ウォルドの息子であるアンドリュー・ウォルド、『パリの恋人』(57)でビジュアル・コンサルタントを務めて以来、オードリーを撮り続けたファッション・フォトグラファー、リチャード・アヴェドンの孫マイケル・アヴェドン等。彼らは実際にその目で見て触れた、オードリーの人物像をリアルに解き明かしてくれる。


 ファッションの分野を担当するのはクレア・ワイト・ケラー。彼女は、オードリーのモード哲学であるミニマリズムを服で表現し続けたジバンシィのもとで、2020年4月までアーティスティック・ディレクターを務めている。ヘンリー王子との挙式でメーガン妃がまとった、いかにもジバンシィらしいシンプルなウエディングドレスをデザインしたのはケラーである。本作でケラーが「オードリーは今でも刺激的で究極のアイコン」と語る場所は、ジバンシィが初めて『麗しのサブリナ』(54)でオードリーが着るベアトップのイブニングドレスをデザインした、パリのジョルジュ・サンクのアトリエだ。背後にはまさにそのサブリナ・ドレスがトルソーに飾ってあり、デザインについて熱く語り合うオードリーとジバンシィの姿が時を超えて蘇ってきそうだ。



『オードリー・ヘプバーン』©Sean Hepburn Ferrer


 ハリウッドを代表して俳優オードリーについて語ってくれるのは、オードリー最後の出演作であるスティーヴン・スピルバーグ監督作品『オールウェイズ』(89)で共演したリチャード・ドレイファス。そして、実は隠れマニアが多い群像ラブコメディ『ニューヨークの恋人たち』(81)の監督、ピーター・ボグダノヴィッチだ。映画監督で映画史研究家でもあったボグダノヴィッチが語る「オードリーはハリウッド黄金期の最後のスター」という言葉には説得力がある。オードリーはハリウッド・ゴールデンエイジの1950年代にデビューし、その後徐々に娯楽の場をTVに奪われていく映画界を果敢に生き抜いた、数少ないサバイバーだからだ。


 コメンテーターたちの顔ぶれを見て思うことがある。このドキュメンタリーがもしも30年前に作られたとしたら、撮影現場でのオードリーを知るグレゴリー・ペック(2003年・没)が、ビリー・ワイルダー(2002年・没)が、ピーター・オトゥール(2013年・没)等が、その思い出を熱く語ってくれたに違いない。ボグダノヴィッチは本作の取材に応じた後、今年1月に他界している。また、最初の夫である俳優のメル・ファーラー(2008年・没)、前述のコニー・ウォルド(2012年・没)、リチャード・アヴェドン(2004年・没)など、彼らが存命中だったなら、より明確な素顔が明らかになったのかも知れない。


 1993年にオードリーが63歳で急逝した時、家族と共にその死を看取った生涯最高のパートナーと呼ばれたロバート・ウォルダースも2018年に81歳で他界。同年、ユベール・ド・ジバンシィも91歳でこの世を去っている。




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