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ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』新世代が迫る新たなオードリー像
2022.05.05
『オードリー・ヘプバーン』あらすじ
永遠の妖精と呼ばれ、美の概念を変えた革新的な存在でスターとしての名声を得たオードリー・ヘプバーン。世界中から「愛された」彼女は一方、実生活では愛に恵まれなかった。しかし、「人生の最後に、自分ことを好きになれた」と語る彼女の本当の人生とはー。オードリーが旅立って30年が過ぎ去ろうとしている今、名声に隠された本当の姿を描いた初のドキュメンタリー映画。
Index
遺族と製作サイドの意図が合致して製作がスタート
オードリー・ヘプバーンの人物像に迫る長編ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』(20/原題:Audrey)の立ち上げは、オードリーの生誕90年のアニバーサリーイヤーである2019年に始まる。当時、ドキュメンタリー映画の製作を模索していたオードリーの長男、ショーン・ヘプバーン・ファーラーのもとに、『マックイーン:モードの反逆児』(18)の製作を終えたばかりのプロデューサー、ニック・タウシグから企画の提案が届いた。両者は、単なる俳優の偉業に迫る”ブランド映画”ではなく、1人の女性の真実を描くという点で一致する。
『オードリー・ヘプバーン』予告
本作は、コアなオードリー・ファンには既知でありつつも、ビギナーにとっては衝撃的な事実を随所で紹介しながら、1人の女性の真実を積み重ねることでドラマチックなライフストーリーをなぞって行く。オードリーが幼い頃に家を出た父親のこと、両親がナチスに傾倒していたこと、ロンドンでダンサーをしていた無名時代のこと、そして本人は「意味も分からなかった」と戸惑う、ハリウッドデビュー作『ローマの休日』(53)でアカデミー主演女優賞を受賞した時のこと。
さらに、仕事よりも家庭を優先した独特の生き方、子供への愛情、度重なる流産、2度の離婚も描かれ、その人生に影を落としたのではないかと言われる、父親との再会と続く流れでは、愛されないことに対する不安やトラウマについても触れている。