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『オールウェイズ』スピルバーグが長年の構想の末に完成させた宿願のファンタジー

(c)Photofest / Getty Images

『オールウェイズ』スピルバーグが長年の構想の末に完成させた宿願のファンタジー

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儚くも希望にあふれる愛の最高傑作



 米国、豪州、ロシアなどの広大な森林を有する国々では、近年、森林火災による多数の被害が報告されている。特に、米国カリフォルニア州では春から晩秋にかけて、ほぼ毎年のように森林火災が発生しており、20年夏のカリフォルニア複合火災では、カリフォルニア州史上、最悪規模の被害をもたらした。


 このような国々では、古くから航空機を用いた空中消火が実施されている。日本ではバケットを吊り下げたヘリが空中から放水するくらいのものだが、米国では軍用機上がりの航空機、あるいは旅客機などを用いて空中消火が行われるというから驚きだ。スピルバーグの宿願のファンタジー『オールウェイズ』(89)では、そんな航空消火隊のパイロットの視点から、甘く切ない恋の物語が描き出される。



 飛行場から颯爽と離陸し、火災現場に着くやいなや、航空機から赤色染料の混ざった特殊な消火剤を撒くわけだが、航空機の高度が高いと燃焼部分に命中しない。だから、木の高さスレスレまで高度を低く保ち、絶妙のタイミングで消火剤を撒布する。一つ間違えれば木や山にぶつかるので、ピート(リチャード・ドレイファス)はいつも命がけだ。死と背中合わせの仕事なので、万が一のことがあれば、と恋人のドリンダ(ホリー・ハンター)の心配は尽きない。いつか死んでしまうのではないか、と絶えず恐怖におののいている。


 そして、恋人の死――。ドリンダの予感は的中してしまう。彼は、空の中に消えてしまい、もう二度と帰ってはこない。オールウェイズ(永遠に)、なんていうのは単なる幻想であり、願望なのかもしれない。人間はいつか死んでしまうものだから。ところが、心やさしいファンタジーの描き手であるスピルバーグにとって、死んでしまった人というのは、愛する人の心の中に、オールウェイズに生き続けるものらしい。


 あの『E.T.』(82)や『カラーパープル』(85)をはじめ、彼の作品はいつも心安らぐ名作ばかり。名匠スピルバーグは、どんなときでも最高の映画体験を届けてくれる。どんなに悲劇的な物語だとしても、最後には心安らぐ結末が待っていることがほとんどだ。いつだって、優しさと希望に満ちた最高のエンディングを用意してくれるのが、スピルバーグ作品の良心なのである。




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