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「ベガスのことはベガスに置いていけ」『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が象徴するラスベガスとは

「ベガスのことはベガスに置いていけ」『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が象徴するラスベガスとは


マフィアが牛耳る背徳の時代から企業経営のクリーンな街へ



 セドウェイとグリーンバウムによってフラミンゴの経営が上向きになると、マフィアがこぞってラスベガスに進出し、次々とカジノホテルをオープン。この頃の賑わいを描いているのが1960年公開の『 オーシャンと十一人の仲間』。第二次大戦の退役兵が戦友を集めて、ラスベガスの5大カジノの売上金を強奪しようとする犯罪コメディで、後にスティーヴン・ソダーバーグ監督が『 オーシャンズ11』(2001)としてリメイクしている。


 ところがマフィアがラスベガスから撤退を余儀なくされる事態が訪れる。そのきっかけになったのが、マーティン・スコセッシ監督作『 アビエイター』(2004)でその半生が描かれた大富豪のハワード・ヒューズだ。


 映画『アビエイター』は、レオナルド・ディカプリオ演じるヒューズの強迫神経症が悪化する暗い予兆を匂わせて幕を閉じる。実際にヒューズは強迫性障害からくる潔癖症を極度に悪化させて、ラスベガスの名門カジノホテル、デザート・インのスイートルームに閉じこもるようになる。そして部屋から一歩も出ることなく主だったカジノホテルを次々と買収し、60年代後半からはマフィアではなく一般企業がカジノを経営するようになっていく。


 この隠遁時代のヒューズが、ラスベガスから240キロ離れた道端に倒れていて、通りかかった男がデザート・インまで送り届けたら、ヒューズの莫大な遺産の相続人に指名されたという都市伝説のような逸話がある。このエピソードはジョナサン・デミ監督によって『メルビンとハワード』(1980)として映画化されている。




 マーティン・スコセッシ監督の『 カジノ』(1995)は70年代から80年代のラスベガスを舞台にした実録物だが、マフィアの影響力が次第に衰え、やがて“家族向けのテーマパーク”に変貌していく1990年代を映して終わる。ここから先のラスベガスは、マフィアの巣窟=犯罪の温床という古いイメージではなく、より健全で、セレブから観光客まであらゆる人を世受け入れる“24時間営業のパーティータウン”だ。


 90~2000年代のラスベガスは、『オーシャンズ11』でも印象的なホテル・ベラージオの噴水ショーやミラージュホテルの火山のようなアトラクションが目抜き通りから無料で観られ、シルク・ドゥ・ソレイユが常設劇場を持って超絶サーカスを披露する。これらのアトラクションはファミリー層を呼び寄せるためのもので、未成年はカジノで遊ぶことは許されないが、同伴する親たちはギャンブルに金を注ぎ込むはずだというカジノ側の確信に基づいていた。




 一方で、街の伝統として利潤最優先なのがラスベガス。売り上げに直結しないサービスはすぐに淘汰されていく。映画『 デンジャラス・ビューティー2』(2005)は、ベガスで一世を風靡した無料の海賊ショーがクローズを余儀なくされた現実の出来事をベースにして、事件の犯人像を創り出していた。


 そして2000年以降のラスベガスは、90年代に街を大きく発展させたファミリー路線に見切りをつけており、セレブ感を求めてやってくる若者層から大人の観光客をメインターゲットにするようになっている。まさに『ハングオーバー!』の主人公たちがそのまま当てはまる。



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