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『ブラディ・サンデー』観る者すべてを圧倒する生々しい臨場感はいかにして描かれたのか?

(c)Photofest / Getty Images

『ブラディ・サンデー』観る者すべてを圧倒する生々しい臨場感はいかにして描かれたのか?

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エンドクレジット後も響き続ける名曲



 ちなみに、本作には劇中のサウンドトラックが一切ない。その代わり、エンドクレジットになると、まるで抑えていた感情が湧き出すかのようにU2の代表曲「Sunday Bloody Sunday」が流れる。アルバムに収録されているオリジナル版とは違い、これは1987年の野外ライブで演奏されたバラード版だという。


 グリーングラスは音声解説の中で「平和を確立する過程で最も基礎となるのは、新たな世代の出現だ」と語っている。さらに「新たな世代はU2の音楽と共に育った。U2は常に先頭に立ってアイルランド中を巡り、非暴力や戦争反対を訴え続けた。それが変化を生み出したんだ」とも。


U2「Sunday Bloody Sunday」


 そして、楽曲は後半になるに従って高揚感を増し、クレジットが流れ終わり、映像が真っ暗闇になってもなお、しばらくの間、音楽はやむことがない。まるで1972年の惨劇にとどまらず、そこから世界中の紛争や悲しみへ思いが広がっていくかのような印象を持つのは私だけではないだろう。


 『ブラディ・サンデー』に触れる機会があれば、ぜひ最後の瞬間まで見届け、聴き届けてほしい。



参考資料:

ブラディ・サンデー』DVD音声解説、特典映像

The Gardian

Irish America



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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