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『女神の継承』地獄直行、加速し続ける恐怖のジェットコースター

© 2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.

『女神の継承』地獄直行、加速し続ける恐怖のジェットコースター

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『女神の継承』あらすじ

タイ東北部の小さな村で暮らす若く美しい女性ミンが、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返す。途方に暮れた母親は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。もしやミンは一族の新たな後継者として選ばれて憑依され、その影響でもがき苦しんでいるのではないかー。やがてニムはミンを救うために祈祷を行うが、彼女に取り憑いている何者かの正体は、ニムの想像をはるかに超えるほど強大な存在だった……。



 2022年7月は、近年まれに見る〈ホラー映画月間〉となった。暴力と残酷描写が満載の台湾ホラー『哭悲/THE SADNESS』(21)、『ドクター・ストレンジ』(16)のスコット・デリクソン監督が続編を降板してまで撮りたかった『ブラック・フォン』(21)、70年代ホラーへの愛情と敬意が詰まったA24作品『X エックス』(22)、「台湾史上最も怖い」と恐れられ、日本でも大きな話題を呼んだNetflix作品『呪詛』(22)など、多種多様な恐怖が観る者に襲いかかったのである。


 その締めくくりに“真打ち登場”とばかりに現れたのが、タイ・韓国の合作映画『女神の継承』(21)だ。原案・製作は『哭声/コクソン』(16)のナ・ホンジン監督。最初は同作に登場する祈祷師・イルグァンの前日譚を描くスピンオフ映画として構想されていたが、のちに大きく設定を変更し、タイの祈祷師一族に降りかかる怪異を追ったフェイク・ドキュメンタリーとなった。


 舞台がタイに変更されるにあたり、監督・脚本には『心霊写真』(04)で知られるタイの俊英バンジョン・ピサンタナクーンが就任。ふたりの才能が国を超えてコラボレーションした本作は、映画の開巻からラストまで地獄に向かってひたすら突き進む、さながらジェットコースターのようなホラー・エンターテインメントである。


『女神の継承』予告


Index


祈祷師一族に襲いかかる怪異



 タイの東北部・イサーン地方にある村には、先祖代々、祈祷師としての血を引く一族があった。人々の信仰を受ける女神・バヤンに選ばれた当代の巫女は、縫製業を営んでいるニム(サワニー・ウトーンマ)。人々の悩みを聞き、相談に乗り、時には儀式を行い、見えない力による病を治すこともできる。


 ニムの姉・ノイ(シラニ・ヤンキッティカン)の夫、ウィローの葬儀の日からすべての異変は始まる。ノイの娘であるミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)の様子が何やらおかしいのだ。普段はハローワークで働いているミンは、明るく快活な性格で、しかもその美しさから町の中でも一目置かれている存在。しかし、そんなミンが罵詈雑言を口にし、小さな子どもを突き飛ばし、自他を問わず暴力を振るうようになった。原因不明の体調不良に襲われながら奇行を重ねていくミンは、とうとう職場を解雇されてしまう。



『女神の継承』© 2021 SHOWBOX AND NORTHERN CROSS ALL RIGHTS RESERVED.


 娘を心配するノイは、祈祷師の力を有する妹・ニムに助けを求めた。ノイは、ミンが女神・バヤンに祈祷師の後継者として選ばれ、その霊に憑依されたのだろうと考えたのだ。ミンを助けたい一心で、ノイはニムに“代替わりの儀式”の実行を懇願する。ところが、ニムは「ミンに憑いたのはバヤンではない」と断言して申し出を断った。では、いったい誰がミンを操っているのか。なぜ、ミンはその標的にされたのか。ニムとノイはミンを救うことができるのか。




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