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『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』アメリカ映画のルネサンスを可能にしたスピルバーグの「勢い」

『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』アメリカ映画のルネサンスを可能にしたスピルバーグの「勢い」


アメリカ映画のルネサンス=〈復興〉



 ルーカスやスピルバーグが映画界に登場する直前、1960年代後半から70年代前半のハリウッドは〈アメリカン・ニューシネマ〉が席巻していた。〈ニューシネマ〉は60年代のヒッピーによるカウンターカルチャーに端を発したムーブメント。それまでの「勧善懲悪」「善男善女」といた予定調和が幅を利かせていたハリウッド映画に若い作り手たちが反発。既成のハリウッド的映画表現を打ち壊した作品が多く作られていた。『 俺たちに明日はない』(1967)、『 イージー・ライダー』(1969)など代表的な〈ニューシネマ〉の主人公たちは犯罪者などの反体制的キャラクターとしてデザインされ、彼らを待ち受けるのは必ず悲惨な死に様だった。それはベトナム戦争や人種差別問題に端を発した公民権運動が、暗い影を落としていた当時のアメリカの空気そのものだったからだろう。しかし70年代の後半にスピルバーグやルーカスが登場。彼らは『 ジョーズ』(1975)や『スター・ウォーズ』(1977)によってストレートで胸のすく娯楽映画を復活させた。


 ジョージ・ルーカスは『スター・ウォーズ』と同時期、既に『レイダース』の構想を持っており、たまたま先に実現したのが『スター・ウォーズ』だったと語っている。その『スター・ウォーズ』の大ヒットの知らせをハワイで聞いたルーカスは、スピルバーグが望んだ「007」シリーズのようなアクション映画として、『レイダース』の企画を提案したのだ。そして彼らが『レイダース』で挑んだテーマこそ「連続活劇」の復興だった。



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 「連続活劇」とは、アメリカで1930年代に隆盛を誇ったアクション映画の形式だ。20分ほどの短編を十数話制作し、一つのシリーズとして毎週土曜の昼に上映した。そのジャンルは西部劇、SF、サスペンスなど多岐にわたるが、特徴は勧善懲悪ストーリーであること。さらに1エピソードの中に必ず手に汗握る展開が盛り込まれており、次のエピソードが気になる場面で終わる「クリフハンガー」というスタイルをとっていることだった。スピルバーグとルーカスは子供の頃に夢中になった「連続活劇」を復活させようと試みた。それはまさに埋もれかけていたアメリカ映画史のルネサンス=〈復興運動〉であった。『レイダース』の時代設定が1936年なのは、「連続活劇」が隆盛した年代を意識しているとも解釈できる。


 しかし1930年代の「連続活劇」は観客に子供を想定したものがほとんどで、設定も荒唐無稽、ご都合主義な展開が多かったと言われる。スピルバーグはそれを現代の観客が見ても手に汗握る真実性のあるものとするため、徹底的にあることにこだわった。リアルなアクションである。



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