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『評決』ポール・ニューマンが復活を果たした、酒に溺れた初老弁護士のリ・ボーン

(c)Photofest / Getty Images

『評決』ポール・ニューマンが復活を果たした、酒に溺れた初老弁護士のリ・ボーン

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『評決』あらすじ

アルコール依存症の弁護士フランク・ギャルヴィンは、新聞の死亡欄から裁判になりそうな事件を探して、見ず知らずの人間の葬式会場に紛れ込み、依頼を受けようと名刺を配る惨めな日々を送っていた。そんなある日、ギャルヴィンのもとに仕事の依頼がやって来る。それは医療ミスで植物人間にされた患者の弁護の仕事だった。始めは金目当てで引き受けたギャルヴィンだったが、調査を進める内に弁護士としての情熱を取り戻す。ギャルヴィンは依頼人のために法廷で戦う決意を固めるが、病院側は強力な弁護団を用意していた……。


Index


失意のポール・ニューマンにまわってきた企画



 60年代から70年代にかけて、ポール・ニューマンは紛れもなく“マネー・メイキング・スター”としてハリウッドに君臨していた。


 『ハスラー』(61)では若きビリヤード・プレイヤー、『動く標的』(66)ではハードボイルドな私立探偵、『明日に向って撃て!』(69)では西部開拓時代の強盗、『スティング』(73)では伝説的な賭博師、そして 『スラップ・ショット』(77)では三流アイスホッケーチームの選手兼コーチ。いやもう、アメリカ映画史を彩る傑作・名作ばっか。精悍なマスク&吸い込まれそうなブルーアイズ、そしてアクターズ・スタジオ仕込みのメソッド演技に、世界中の映画ファンが釘付けになったのである。


 だが、そんな順風満帆ライフに暗雲が立ち込める。一人息子のスコット・ニューマンが、28歳の若さで急死してしまったのだ。偉大な父親の背中を追うようにして俳優の道に進んだものの、過度なプレッシャーからアルコール依存症に。死因はオーバードーズだったといわれている。


 意気消沈したポール・ニューマンに追い討ちをかけるように、2,000万ドルの予算をかけた主演映画『世界崩壊の序曲』(80)が、興行収入わずか170万ドルと大コケ。「史上最低のパニック映画」と酷評され、ポール・ニューマン自身も「完全にお金のために作った映画」だの「初日から大失敗することを悟っていた」だの、自虐コメントのオンパレード。続く警察ドラマ『アパッチ砦・ブロンクス』(81)も興行的にはパッとせず、バラ色の俳優人生から一気に転落してしまうのである。


『評決』予告


 失意に沈んでいた彼のもとにお鉢がまわってきた企画が、ベストセラー小説『評決』の映画化。著者のバリー・リード自身が弁護士時代の体験から着想を得た作品で、「アル中の初老弁護士が医療過誤訴訟をきっかけにして、教会と法曹界を相手に単身立ち向かう」という法廷サスペンスである。


 元々この企画は、20世紀フォックスのデヴィッド・ブラウンとリチャード・D・ザナックが映画化権を獲得し、監督に『ある愛の詩』(70)で知られるアーサー・ヒラー、脚本に劇作家として著名なデヴィッド・マメットという布陣で始動していた。そして主演として考えられていたのが、ロバート・レッドフォード。そう、『明日に向って撃て!』、『スティング』で共演していた盟友である。





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