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『トゥモロー・モーニング』舞台のトップスターが映画でも活躍する。その難しさを克服する俳優の出現

©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan

『トゥモロー・モーニング』舞台のトップスターが映画でも活躍する。その難しさを克服する俳優の出現

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同時期にヒュー・ジャックマンと同じ役



 その流れで、主演の2人が舞台ミュージカル界のスターという映画が『トゥモロー・モーニング』である。2006年にロンドンで開幕した同名のミュージカルは、日本などでも上演。20代で出会い、激しい恋におちた主人公ふたりが、10年後に別れの危機を迎える。20代と30代、それぞれの時代を行き来しながら、歌がドラマをつないでいく作品だ。この映画版のキャストを任されたのが、サマンサ・バークスとラミン・カリムルーである。舞台版は20代、30代それぞれのパートを別の役者が演じるスタイルだった(日本版では前者が新妻聖子と田代万里生、後者が島田歌穂と石井一孝)。しかし映画版は2つの時代を同一キャストで演じるスタイルを選択した。俳優の実力を信じ切ったからだろう。


 女性側のキャサリンを演じたサマンサ・バークスは、舞台では「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役、ミュージカル版「プリティ・ウーマン」や「アメリ」、さらに「アナと雪の女王」では主演を務めており、ブロードウェイやウエストエンドの大スター。映画版の『レ・ミゼラブル』(12)でもエポニーヌ役で出演したので、映画ファンにも知られた存在。



『トゥモロー・モーニング』©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan


 一方で男性側のビルを演じるラミン・カリムルーは、ミュージカルファン以外には馴染みの薄い存在かもしれない。しかし舞台でのキャリアは輝かしく、「オペラ座の怪人」のファントム役を史上最年少の28歳で演じ、「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役のほか、「ミス・サイゴン」「サンセット大通り」「エピータ」など錚々たる作品でメインキャストを務めてきた。近年、ドラマや映画にも進出していた彼が、初の映画主演を任されたのである。


 ラミン・カリムルーは1978年生まれなので、映画界ではやや遅咲きかもしれない。しかし『トゥモロー・モーニング』を観れば、長年の舞台で培った実力が、映像でもカリスマ性となって発揮されていることに気づくだろう。そのカリスマ性がヒュー・ジャックマンと重なる瞬間も発見できる。ヒューが映画『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンを演じた2012年、ラミンは同じ役でロンドンのウエストエンドの舞台に立っていた、という偶然もある。「もちろん当時ヒューの映画は観ました。心から素晴らしいと感じましたよ」とラミンはインタビューで謙虚に答えた。





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