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『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』90年代若手カリスマたちが巻き起こすダークで奇妙な化学反応

(c)Photofest / Getty Images

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』90年代若手カリスマたちが巻き起こすダークで奇妙な化学反応

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タイプの異なる二大俳優の対峙



 映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』には様々な個性を持った吸血鬼たちが登場するが、カメラの前で演じる側も同様、様々なタイプの俳優が顔を突き合わせ化学反応を巻き起こすのがポイントだ。


 例えば主演のトム・クルーズは、キャリア初期から自らのイメージがスクリーンにどう映るかを徹底して意識してのし上がってきた俳優だ。もちろん役作りも徹底して行い、演技や演出について納得がいくまで監督と話し合い、ふさわしくないセリフがあれば変えてほしいと率直に申し出る。そうやって自らの存在感を軸に作品世界を掌握してきたと言っていい。トムは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』で「初めての悪役に挑戦!」「特殊メーキャップで驚きの姿に!」などとこれまでとはまるで異なる点で注目を集めた。しかし何もせずとも溢れ出るカリスマ性をそのままに、あらゆる場面においてスクリーンをパワフルに席巻している点では、他の作品と変わらない。


『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』予告


 では相対するブラッド・ピットはどうか。トムと同じく90年代映画界を席巻した同世代のこの人気俳優は、カリスマ性のタイプがかなり異なる。彼は決して映画をコントロールしようとするのではなく、むしろその一部に自然と溶け込み、アンサンブルに徹しようとする。そうやって作品や演出に身を委ねることで自らの中に新たな一面を見つけ、なおかつ作品そのものが上質なものに仕上がっていくことに喜びを感じるタイプだ。先陣を切り開きグイグイいくトムに比べると、かなり繊細でアーティスティックなタイプと言えるのかもしれない。


 今思えば、そんなタイプの違う二人の演技が、一本の映画の中でよくぞここまで成立したものだと感心させられる。だが逆に考えると、この水と油のように見える二人を対峙させることこそ、ニール・ジョーダン監督の採った野心的な試みだったのかもしれない。つまり、異質の二人を同じ穴に放り込み、どうなるのか見てみようというのだ。食い合うのか。それとも共存するのか。





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