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『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』90年代若手カリスマたちが巻き起こすダークで奇妙な化学反応

(c)Photofest / Getty Images

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』90年代若手カリスマたちが巻き起こすダークで奇妙な化学反応

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『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』あらすじ

野心的なライターの青年ダニエル・マロイは、吸血鬼と名乗る黒髪の青年紳士ルイにインタビューを始める。ルイは、200年にもわたる半生を語り始めるのだった。18世紀末のアメリカ。フランス移民で農場主だったルイは、最愛の妻と娘を失って自暴自棄になっていた。そんなある日、レスタトと名乗る妖艶な男と出会う。彼は永遠の命を持つヴァンパイアだった。レスタトはルイの首筋に噛みついて血を吸い、このまま死ぬか、共に生きるかの2択を迫る。そしてルイはヴァンパイアとして生きる道を選ぶが、それが苦悩の始まりだった…。


Index


彷徨い続けた吸血鬼映画の企画



 この世に200年以上も生きながらえる吸血鬼に記者が単独インタビューを試みるーー。アン・ライスが70年代に著した原作は、従来のヴァンパイア物の常識を覆す怪奇小説だった。


 注目された小説がすぐさま映画化に向けて動き出す流れは、現代も50年前もさほど変わらない。しかし物語内で吸血鬼たちが長きにわたり世界を彷徨うのと同様、この映画企画もライス自身が脚本を執筆して以来、長らく実現することなく彷徨い続けることとなる。その間、幾人もの監督や俳優の名前が浮かんでは消えていった。最初期にはレスタト役にアラン・ドロンの名前さえ挙がったものの、結局、90年代になって完成した映画ではトム・クルーズが演じた。つまるところ、それくらいの時代の変遷を経験したということだ。


 原作者には原作者なりの登場人物への思い入れがあり、できるだけ自分のイメージ通りの俳優に演じてほしいと願って当然である。対して、映画の作り手側には、観客をあっと驚かせたいという思惑がある。『クライング・ゲーム』(92)のニール・ジョーダン監督と製作陣がトム・クルーズに白羽の矢を立てたのは、彼のパワフルなスター性と共に、まさにその”意外性”を狙ったところだったに違いない。



『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(c)Photofest / Getty Images


 これに対して原作ファンたちの間では猛反対がわき起こった。精悍な相貌のトムのイメージがレスタトとはあまりにかけ離れているというのである。アン・ライスもこの反対活動に同調。彼女自身はレスタト役にジェレミー・アイアンズやダニエル・デイ=ルイス、ジョン・マルコヴィッチらを希望していたと言われる。原作者自身とのイメージとも相当かけ離れていたのだろう。


 このように映画版『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)の製作は、序盤から波乱づくめであった。一つ間違えればファンの総スカンを喰らって商業的に大ダメージを受ける可能性もあったはず。しかしどうだろう。完成した本作は意外や意外、ファンの間でも好意的に受け止められ、公開後30年近い月日を経た今では、90年代クラシックの定番として語り継がれている。とりわけトム・クルーズとブラッド・ピットという、90年代の映画界を語る上で欠かすことのできないトップスターの若き姿をフィルムに焼き付けている点で、物語以上に映像的価値の高い作品と言えそうだ。





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