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『マネキン』愛と笑いとファンタジーが詰まった快作

(c)Photofest / Getty Images

『マネキン』愛と笑いとファンタジーが詰まった快作

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マトモなキャラはひとりもいない!?



 とりあえずストーリーのおさらいを。彫刻家志望の若者ジョナサンは、あまりにも強い芸術性へのこだわりがアダとなり、勤務先のマネキン製作会社をクビになる。そんなある日、自身の最高傑作と思っていたマネキン人形をデパートのショーウィンドウで発見。運よくそこに就職したジョナサンだったが、このプリンス・デパートは経営が傾いており、ライバルのデパートによる買収の危機にさらされていた。


 ジョナサンは、ある夜、そのマネキンが人間に変身して話しかけてきたことに仰天する。エミーと名乗る彼女は古代エジプトから転生を重ね、愛する者を探し求めていた。ジョナサンの前でしか人間になれないエミーは、他人の目があるとマネキンに戻る。革新的なショーウィンドウを作るために、夜ごと共同作業を始めた彼らは、次第に惹かれ合う仲に。一方で、彼らの手によるプリンス・デパートのウィンドウは評判となり、売り上げを急激に伸ばしていった。ところが、それを快く思わないライバルのデパートが、ジョナサンに執拗に嫌がらせを仕かけてくる……。



『マネキン』(c)Photofest / Getty Images


 本作はファンタジー風味のラブストーリーであり、サクセスストーリー。そして何よりバカバカしいまでのギャグを盛り込んだコメディでもある。ジョナサンは恐ろしいほど世渡りが下手で、マネキン会社をクビになったあとも、傑作を求めるあまり植木職人もダイナーもクビになる。そのアーティスト気質は、オタクっぽくも見える。一方のエミーは天真爛漫で自由奔放。そんな彼女に乗せられて、深夜のデパートでコスプレやダンスを楽しむジョナサン。マネキンに戻ったエミーにさえ語りかけてしまう姿は、ハタから見ると、ちょっと異常だ。


 クレージーなのは彼だけではない。ジョナサンの良き理解者となるウィンドウ職人で、同性愛者のハリウッドは、つねにハイテンションで、ことあるごとに奇声を上げては下ネタを連発。ジョナサンの活躍を快く思わない上司リチャーズはライバルのデパートのスパイでもあり、嫌味を連発する典型的なイヤなヤツ。そんな彼に雇われた夜警のフェリックスは元軍人で、当時の特攻精神が抜けていない(ちなみに、愛犬の名はランボー)。ライバルのデパートに勤務するジョナサンの元恋人ロキシーは上昇志向が極端に強いし、彼女に執拗に言い寄る同僚はスケベ心丸出し。このように、あらゆるキャラクターが漫画のようにわかりやすくカリカチュアされている。





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