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『マネキン』愛と笑いとファンタジーが詰まった快作

(c)Photofest / Getty Images

『マネキン』愛と笑いとファンタジーが詰まった快作

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こんなくだらない映画、ウケるはずがない!?



 ジョナサンを演じたアンドリュー・マッカーシーは『セント・エルモス・ファイアー』(85)や『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』に出演してブレイクした、時のイケメン俳優。若い女性ファンの多さが、本作の主演に抜擢される決め手となったが、彼の爽やかな笑顔はキャラクターのオタクっぽさを抑え、好感度を引き立てることに成功している。また、エミーを演じたキム・キャトラルは朗らかさと健康的なお色気を体現し、これが出世作に。この後、TVシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」のメイン・キャラクターとして活躍したのはご存知の通り。


 悪役を演じた俳優についても触れておこう。リチャードを演じたジェームズ・スペイダーは『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』でもイケ好かないキャラでマッカーシーと共演しており、後の『レス・ザン・ゼロ』(87)を含めると3度の顔合わせ。この後、彼はカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『セックスと嘘とビデオテープ』(89)で人気俳優となる。また、フェリックス役のG・W・ベイリーはベテランのコメディ俳優で、『ポリス・アカデミー』シリーズの意地悪な教官役で日本でもおなじみ。ちなみに彼は、『マネキン』に役者として出演していたとき“こんなくだらない映画がヒットするワケがない”と思っていたという。



『マネキン』(c)Photofest / Getty Images


 ベイリーの予想に反して、本作は1987年2月に公開されるや全米でスマッシュヒットを記録。600万ドルで作られた映画が4,200万ドルの興行収入を記録したのだから、成功作と言ってよいだろう。好評を受けて、1991年には続編『マネキン2』が製作されるが、マッカーシーやキャトラルら前作の主要キャストは参加せず、それが仇となってしまったか、興行的には惨敗を喫してしまう。


 最後にもうひとつ、『マネキン』が成功した理由について触れておきたい。それは1980年代の多くの青春映画がそうであったように、音楽が好評を博したこと。エンディングの感動を盛り立てるスターシップのナンバー「愛はとまらない」は米ビルボードのチャートのトップに立ち、日本でもオリコンの洋楽チャートで第1位となった。筆者が当時バイトをしていたレンタルビデオ店に併設されていたレンタルレコード&CD店でも、これを収めたスターシップのアルバムが高回転していたことを付け加えておこう。



文:相馬学 

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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