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『ゲティ家の身代金』公開1ヶ月前に22シーン、400ショットを再撮影!映画史上類のない俳優交代を可能にしたものとは?

『ゲティ家の身代金』公開1ヶ月前に22シーン、400ショットを再撮影!映画史上類のない俳優交代を可能にしたものとは?

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主演交代のアクシデントに見舞われた過去の名作たち



 製作のプロセスで主演俳優が交代となった映画は、過去にいくつか存在する。たとえばフランシス・フォード・コッポラ監督によるベトナム戦争ジャンルの巨編『地獄の黙示録』(79)。同作では上官暗殺の任務を負うウィラード大尉を『 ミーン・ストリート』(73)のハーヴェイ・カイテルが演じていた。だが5ヶ月間予定されていた撮影の第1週目のラッシュを見て、違和感を覚えたコッポラはカイテルを更迭。同役を『 地獄の逃避行』(73)のマーティン・シーンに引き継がせた。


 日本では、黒澤明監督の戦国時代劇『 影武者』(80)が、この手の変更を経た映画作品として周知されているだろう。製作発表時、本作には武田信玄とその影武者の二役に、監督とは初顔合わせとなる勝新太郎が予定されていた。ところがリハーサルの二日目、スタジオで勝が演技の確認用にビデオ録画をおこなうと提案したところ、黒澤はこれを拒否。両者は決裂し、代わりに黒澤作品に縁の深い仲代達矢が、信玄と影武者を演じることになったのである。 


 また奇しくも後年、同じ信玄公が登場する海音寺潮五郎原作の『 天と地と』(90)では、主役の上杉謙信を演じていた渡辺謙がロケ先のカナダ・カルガリーにて急性骨髄性白血病を宣告され、やむなく降板。代わりに榎木孝明が緊急のオーディションを受け、同役を務めた。


 これらの作品は、いずれも撮影開始から間もなく問題が表面化し、交代を果たしているものがほとんどだ。なのでスムーズとはいわないまでも、製作上でのダメージは比較的軽い。しかし、そうでない深刻な痛手を伴ったケースもある。




 娘を人質にとられた女弁護士が、殺人犯を無罪にするよう強要される韓国サスペンス『 セブンデイズ』(07)の場合、主演がテレビドラマ『 私の名前はキム・サムスン』(05)のキム・ソナから『 シュリ』(99)米テレビドラマ『 LOST』(04~10)のキム・ユンジンへと変更したとき、作品はすでに全体の約30%を撮り終えていた。そのため製作会社がソナを相手取り、撮影費用の補償を訴えるといった事態にまで及んでいる。


 また撮了場面が多い段階での交代騒動、ということでは、あの『 バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)も負けてはいない。本作で主人公マーティを演じていたエリック・ストルツが「ユーモアに欠ける」という理由でマイケル・J・フォックスに代えられたとき、映画はすでに全体の約40%近くも撮り終えていたのである。この段階での主演交代は相当にリスキーといえるが、監督のロバート・ゼメキスならびに製作のボブ・ゲイルらはこれを断行。さいわいなことに変更は功を奏し、マイケルの演じるマーティは多くの観客に愛され、好評を博した。そして本作は世界的な大ヒットを記録し、恒久的にファンを生む名作シリーズとなったのである。



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