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『ダイ・ハード』アクション映画を高度な次元へと押し上げた功績を探る!
『ロボコップ』に触発されたカメラワークと編集
もちろん、映画の功労者は俳優だけにとどまらない。監督のジョン・マクティアナンは、この革命の闘士ハンスから政治的イデオロギーの匂いを取り払い「一皮むけばただのコソ泥」というアクセントを付加することで、面白さにメリハリの効いた娯楽作を標榜したのだ。そのため幾度となく脚本のリライトを重ねていくうちに、必然的に練りに練られたストーリーが組み上がっていったのである。
『ダイ・ハード』(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
また、作品の高いクオリティを視覚面でも追求しようと、オランダの監督ポール・ヴァーホーベンのハリウッドデビュー作『ロボコップ』(87)に衝撃を受けたマクティアナンは、撮影監督にヴァーホーベンと同じオランダのシネマトグラファーであるヤン・デ・ボンを、そして編集には『ロボコップ』のフランク・J・ユリオステを起用したのだ。
その影響もあって『ダイ・ハード』は、『ロボコップ』が見せたように従来のハリウッドスタイルとは一線を画する、ワイルドな画調に仕上がっている。特にデ・ボンの果たした役割は大きく、フレーム枠内に写る俳優の物理的な動きではなく、シーンの感情的な変化によってカメラの動きが動機づけられていくという、高度なカメラワークをこの映画に提供したのである。