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『ターミナル』内から外への越境、刻印された難民というテーマ

(c)Photofest / Getty Images

『ターミナル』内から外への越境、刻印された難民というテーマ

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“スピルバーグ映画の脚本家”という称号



 『ターミナル』は、フランスのパリ=シャルル・ド・ゴール空港で18年間暮らした、“ターミナルマン”ことメフラン・カリミ・ナセリの実話に着想を得た物語。ニューヨークにやってきたビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、祖国クラコウジアでクーデターが発生したため、パスポート無効の無国籍状態に。アメリカに入国することも、クラコウジアに帰国することもできない彼は、ジョン・F・ケネディ国際空港で生活することを余儀なくされてしまう。それでもナボルスキーは、ニューヨークである“使命”を果たそうと懸命に努力を続けていく…。


 サーシャ・ガヴァシは、『ターミナル』のスクリプト作りに主演俳優のトム・ハンクス自ら参加していたことを明かしている。


「トム・ハンクスがスクリプトに関わりたいと言ってきたんだ。私はサンタモニカの彼のオフィスまで、彼に会いに行ったよ。それは、信じられないほど楽しい出来事だった。(中略)その後、私はトム・ハンクスとヨーロッパでリサーチ旅行に出かけて、もう一つのプロジェクトに取り組んだ。残念ながら、それは実現しなかったけれどね。私はその時点で『ターミナル』がどうなっているか、分からなかった」(*1)


 精魂込めて作り上げたシナリオが、それでも劇場公開されない末路をたどることは、ハリウッドではよくあることだ。実際にサム・メンデス、ロバート・ゼメキス、ラッセ・ハルストレムといった監督が、このプロジェクトを蹴ったとも伝えられている。だが事態は、意外な形で進展することになる。



『ターミナル』(c)Photofest / Getty Images


「トム・ハンクスのドライバーか、誰かから電話があって、車が下にあるから彼と一緒に夕食を食べに行くようにと言われたんだ。車に乗り込んで、ベルリンのレストランに行ったよ。(中略)私が入って行くと、トム・ハンクスがスティーヴン・スピルバーグと一緒にいて、“サーシャ、スティーヴンがここにいるよ。おめでとう、11月5日に撮影を始めるんだ”と言った。私は“何を?何を撮影するんだい?”と聞き返したら、スピルバーグが『ターミナル』を監督することを教えられたんだ」(*2)


 その席にはレオナルド・ディカプリオもいたというから、おそらく『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)関係者たちによるディナーだったのだろう。かくしてサーシャ・ガヴァシは、わずか2本目にして“スピルバーグ映画の脚本家”という称号を手にすることとなる。


 だが筆者は、この作品のテーマを方向づけた人物として、もう一人のキーパーソンの名前を挙げたいと思う。「原案」でクレジットされている、アンドリュー・ニコルだ。




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