弱冠21歳でユニバーサルと契約を結び、『ジョーズ』のヒットで28歳にして人気映画監督の仲間入りを果たし、『E.T.』で当時の世界興行収入ナンバーワンを記録、『ジュラシック・パーク』で映画CG技術に革命を起こし、『シンドラーのリスト』でアカデミー監督賞を受賞。スティーヴン・スピルバーグほど、映画史の王道を歩んできたキング・オブ・ハリウッドはいないだろう。その偉大なフィルモグラフィーを改めて見てみよう。
なお、日本では劇場公開された『激突!』と『世にも不思議なアメージング・ストーリー』は、もともとテレビ作品。だが『激突!』に関しては、スピルバーグの名前を世に知らしめた重要作ということを鑑み、あえてリストに加えさせて頂いた。
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Index
- 5.『1941』(81)
- 6.『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)
- 7.『E.T.』(82)
- 8.『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)
- 9.『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)
- 10.『カラー・パープル』(85)
- 11.『太陽の帝国』(87)
- 12.『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(89)
- 13.『オールウェイズ』(89)
- 14.『フック』(91)
- 15.『ジュラシック・パーク』(93)
- 16.『シンドラーのリスト』(93)
- 17.『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97)
- 18.『アミスタッド』(97)
- 19.『プライベート・ライアン』(98)
- 20.『A.I.』(01)
- 21.『マイノリティ・リポート』(02)
- 22.『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)
- 23.『ターミナル』(04)
- 24.『宇宙戦争』(05)
- 25.『ミュンヘン』(05)
- 26.『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(08)
- 27.『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11)
- 28.『戦火の馬』(11)
- 29.『リンカーン』(12)
- 30.『ブリッジ・オブ・スパイ』(15)
- 31.『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)
- 32.『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)
- 33.『レディ・プレイヤー1』(18)
スティーヴン・スピルバーグ監督作品 1970年代
1.『激突!』(71)90分
大型タンクローリーにひたすら追いかけ回される恐怖。スピルバーグが純粋な映画文法のみで創り上げた、極上のサスペンス・スリラー。スピルバーグは、怪獣ゴジラをタンクローリーに置き換えて撮ったと発言しているから、そのスタイルが『ジョーズ』に直結したことは間違いない。テレビ放送時の上映時間は74分だったが、日本やヨーロッパで劇場公開するにあたり、スピルバーグはデヴィッドが妻に電話をかけるシーンなどを追加撮影して、最終的に90分の作品にまとめている。
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2.『続・激突! カージャック』(72)110分
『激突!』の続編と思わしきタイトルを冠しているが、これは日本の配給会社による策謀で、完全に独立した作品(原題は『The Sugarland Express』)。夫婦がパトカーをカージャックして赤ん坊を取り返そうとする、コメディ・タッチのロードムービー。警察からの逃避行というモチーフは、どこかアメリカン・ニューシネマの香りも。ルー・ジーンを演じるゴールディ・ホーンの溌剌とした魅力が爆発している。本作がスピルバーグにとって初めての劇場用映画。
3.『ジョーズ』(75)124分
『ディープ・ブルー』(99)、『ロスト・バケーション』(16)、『MEG ザ・モンスター』(18)など、今や百花繚乱を誇るサメ映画の元祖にして頂点。弱冠28歳でこの大ヒット作品を世に放ち、スピルバーグは若き天才フィルムメーカーであることを証明した。「ダー、ダン」というわずか2音のみで、迫り来るサメの恐怖を表現したジョン・ウィリアムズの発想には改めて舌を巻く。ロイ・シャイダーが口にするセリフ「You're gonna need a bigger boat(もっと大きな船が必要だ)」は、今では慣用句として使われるほど有名に。
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4.『未知との遭遇』(77)135分 / 132分(特別編) / 137分(ファイナル・カット)
人類と地球外知的生命体との“第三種接近遭遇”。巨大なマザーシップがデビルズ・タワー上空で回転するシーンは、映画史に刻まれる名場面の一つ。プロジェクト・リーダーのラコーム博士を演じているのは、『大人は判ってくれない』(59)で知られる名匠フランソワ・トリュフォー。彼が主人公リチャード・ドレイファスに語りかける「君がうらやましい」とは、若くしてキング・オブ・ハリウッドに上り詰めたスピルバーグへの偽らざる思いなのかも。
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