© 2023 Universal Studios. All Rights Reserved.
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』アニマトロニクスで再現した機械仕掛けのマスコットたち
2024.02.13
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』あらすじ
過去の行方不明となった弟の未解決事件に未だ苦悩しながら、ともに暮らす妹アビーのため必死に仕事を探していたマイクは、ある日、夜間警備の依頼を引き受ける。かつては機械仕掛けのマスコットたちが人気を呼んだレストラン<フレディ・ファズベアーズ・ピザ>は、80年代に子供たちが謎の失踪を遂げ、現在は廃墟と化していた。マイクはここで夜を過ごすうち、説明のつかない出来事に遭遇し、この夜勤がそう簡単に終わらない事に気づく──。
Index
ゲームの映画化、その難しさ
深夜のピザレストランの中を動き回る、不気味なマスコットたち……。そんな不気味な集団の襲撃から身を守るという、アメリカのホラーゲームシリーズが、「Five Nights at Freddy's」だ。2014年に発表された第1作が爆発的な人気を獲得し、翌年には実写映画化の企画が進められたほど、大きな支持を獲得している。
その後、映画化の話はすぐに進まず、原作者によって当初の脚本が却下されたり、製作元が「ブラムハウス・プロダクションズ」に変わって仕切り直されるなどの紆余曲折があった。しかし、企画開始から8年ほどの歳月を経て、ついに映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』として、公開されるはこびとなったのだ。
このゲームには数々の続編、派生作品があるが、第1作の内容はシンプルだ。舞台となるのは、子どもに人気のピザレストランの警備室。深夜に警備員として勤務している主人公をプレイヤーが操作し、機械仕掛けのマスコット人形の動きを、複数の警備カメラで逐一チェックしながら、勤務が終わる早朝まで身を守り生存を目指す。5日間の勤務の間に、マスコットたちの動きが活発になってくるのが恐ろしい。
『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』© 2023 Universal Studios. All Rights Reserved.
単純なシステムながら、反射神経や先読み、限りある電力を節約するマネージメント力などが要求されるゲーム性も優れていたが、大勢の人々に愛されているはずのマスコットたちが潜在的に持っている、ある種の“不気味さ”を掘り起こしたところが、このゲームが支持された理由だろう。
しかしこのゲームを、実際に映画の脚本にしようとすると、困難な問題に突き当たるはずだ。それは、“なぜ主人公は5日間も、こんな恐ろしい場所で勤務を続けるのか”という点である。ゲーム内では、マスコットたちの深夜の徘徊について、戦慄の事実が明かされていくというストーリーが用意されてはいるのだが、一方で死の危険が濃厚な職場に戻って来て、何日も勤務する主人公の選択には、疑問を覚えるところがあるのだ。
そういった強引さもまた、ゲーム特有の魅力となっている部分もある。だが、これが長編映画となってくると、惨劇の舞台であるピザレストランに何度も足を運ぶ主人公には、強い動機が必要となってくる。なぜなら通常の娯楽映画において、観客を登場人物に感情移入させることが非常に重要であるからだ。そして、登場人物に感情移入させるためには、動機に不可解な部分があってはならない。