Ⓒ2022 UNIVERSAL STUDIOS
『ハロウィン THE END』デヴィッド・ゴードン・グリーン監督 ホラー映画? そのとおりだが、本作はラブストーリーでもある【Director’s Interview Vol.304】
1978年に製作され、低予算映画ながら全米はもとより世界中で大ヒットを飛ばしたホラー『ハロウィン』。米国の架空の都市ハドンフィールドで、ハロウィンの夜に出現した連続殺人鬼ブギーマンこと、マイケル・マイヤーズ。その凶行から逃れようとする女子高校生ローリー・ストロードの必死のサバイバルを描いた本作。そのクオリティの高さから観客の熱烈な支持を受け、シリーズ化されたばかりか、『13日の金曜日』をはじめとするスラッシャーホラーのブームをも作り上げた。いわば、伝説的な傑作ホラーでもある。
2018年、オリジナル版の誕生から40年を経て、その新たな続編『ハロウィン』が製作される。重犯罪者用の精神病院に収監されていたマイケルが脱走し、40年ぶりにハロウィンのハドンフィールドに舞い戻る。この事態を予測していた初老のローリーは周囲の人々に変人扱いされながらも、娘や孫娘とともにこの脅威に立ち向かった。本作はまたもセンセーションを巻き起こし、ホラー映画の興行記録を塗り替える大ヒットを飛ばした。
オリジネーターのジョン・カーペンターを製作総指揮と音楽に迎えて、力作というべきこの続編を生みだしたデヴィッド・ゴードン・グリーン監督は、本作を皮切りにした三部作を構想。2021年の第二弾『ハロウィンKILLS』では、パニックに陥った街とマイケルの関係に言及する意欲的な物語を創造し、またもファンを唸らせた。そして、完結編『ハロウィンTHE END』の登場だ。グリーン監督は、このトリロジー三部作で何を達成しようとしたのか？ リモートで話を聞いた。
Index
『ハロウィン』以外に意識した、もうひとつのカーペンター作品とは?
Q：2018年の『ハロウィン』、『ハロウィンKILLS』、そして最新作の『ハロウィン THE END』と、ドラマに一貫性はありますが異なるカラーとなっています。どのような違いをそれぞれにあたえましたか?
グリーン：このトリロジーでは、それぞれ違った角度から『ハロウィン』という物語を掘り下げている。一作目はカーペンターのオリジナル版で描かれたキャラクターを再構築してホラーという枠組に落とし込んだ。対して、『ハロウィンKILLS』はホラーとともにアクションを重視した。そして『ハロウィン THE END』ではホラーではあるけれど、そこに生じるラブストーリーを探求したんだ。
『ハロウィン THE END』Ⓒ2022 UNIVERSAL STUDIOS
Q：製作総指揮を務めたカーペンターとは当初から密に連絡を取り、話し合ってきたとのことですが、『ハロウィン THE END』では、どんなことを相談されたのですか?
グリーン：カーペンターの作品ではもちろん『ハロウィン』は大好きだけれど、それと同じくらい僕は『クリスティーン』のファンでね。今回はあの映画の要素を盛り込みたくて、脚本の初期段階で彼に話をしてみた。疎外された者の反撃というテーマだね。彼は、僕のこのアプローチを光栄に思ってくれたようで、とても嬉しかった。
Q：カーペンターは音楽も手がけていますが、その点ではどんなことに気を配られましたか？
グリーン：何よりも大事なのは、やはりおなじみの『ハロウィン』のテーマをいつ使うかということだった。1978年の『ハロウィン』のためにカーペンターが作ったあの曲は、パワフルな音色も独特のコード進行も素晴らしく、僕は大好きだ。あのメインテーマは独立したひとつの楽曲として多くの人の心に刻まれている。僕もファンだから、あの曲がかかる場面には慎重にならざるをえなかったね。そこでカーペンターは新たなアレンジのあの曲を、どういうタイミングで使うべきか助言してくれた。あの曲の使いどころは、この映画を成立させるうえでも大きな鍵だったよ。
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