『透明人間』あらすじ
富豪で天才科学者エイドリアンの束縛された関係から逃げることの出来ないセシリアは、ある真夜中、計画的に彼の豪邸から脱出を図る。失意のエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残した。セシリアは彼の死を疑っていた。偶然とは思えない不可解な出来事が重なり、それはやがて、彼女の命の危険を伴う脅威となって迫る。セシリアは「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていく。
Index
パンデミックに興収5位となった低予算映画
パンデミックの影響で映画界の行く末が益々混沌としてきた2020年。新型コロナウイルスが世界的に蔓延し始める直前の、2月28日に全米で劇場公開され、6月時点で世界興収が1億2,500万ドル超に達しているヒット作がある。『透明人間』だ。この数字は今年劇場公開された『バッドボーイズ フォーライフ』『ソニック・ザ・ムービー』『ドクター・ドリトル』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PRAY』に次ぐ5位にあたる。
しかし、注目すべきはその収益率だ。上位4作品の製作費がどれも1億ドル前後のビッグ・バジェットなのに対して、『透明人間』はたったの700万ドル。上質の映画を安く作り、高い収益率を目指している。製作したのは、これまでも、『パラノーマル・アクティビティ』(07)『パージ』(13)『ザ・ギフト』(15)『スプリット』(16)、そして、ジョーダン・ピールにアカデミー賞脚本賞をもたらした『ゲット・アウト』(17)など、上質で高収益の作品を送り出してきた、ブラムハウス・プロダクションズ。創設者は、今や新時代のホラー映画を牽引するジェイソン・ブラムだ。
『透明人間』予告
そして、監督に任命されたのは、2年前に、ブラムハウス・プロダクションズで『アップグレード』(18)を監督した、リー・ワネルである。ワネルは、ロイヤルメルボルン工科大学の同窓生であるジェームズ・ワンと共に放った『ソウ』シリーズ(04~)でも知られる、ホラー界の若き逸材だ。