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パンデミックに興収5位となった低予算映画
パンデミックの影響で映画界の行く末が益々混沌としてきた2020年。新型コロナウイルスが世界的に蔓延し始める直前の、2月28日に全米で劇場公開され、6月時点で世界興収が1億2,500万ドル超に達しているヒット作がある。『透明人間』だ。この数字は今年劇場公開された『バッドボーイズ フォーライフ』『ソニック・ザ・ムービー』『ドクター・ドリトル』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PRAY』に次ぐ5位にあたる。
しかし、注目すべきはその収益率だ。上位4作品の製作費がどれも1億ドル前後のビッグ・バジェットなのに対して、『透明人間』はたったの700万ドル。上質の映画を安く作り、高い収益率を目指している。製作したのは、これまでも、『パラノーマル・アクティビティ』(07)『パージ』(13)『ザ・ギフト』(15)『スプリット』(16)、そして、ジョーダン・ピールにアカデミー賞脚本賞をもたらした『ゲット・アウト』(17)など、上質で高収益の作品を送り出してきた、ブラムハウス・プロダクションズ。創設者は、今や新時代のホラー映画を牽引するジェイソン・ブラムだ。
そして、監督に任命されたのは、2年前に、ブラムハウス・プロダクションズで『アップグレード』(18)を監督した、リー・ワネルである。ワネルは、ロイヤルメルボルン工科大学の同窓生であるジェームズ・ワンと共に放った『ソウ』シリーズ(04~)でも知られる、ホラー界の若き逸材だ。