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『エイリアン:ロムルス』大胆不敵な戦略が張り巡らされた、シリーズ最大の異色作 ※注!ネタバレ含みます
2024.09.09
続編映画のマイスター、フェデ・アルバレス
新しい「エイリアン」の監督の座を射止めたのは、フェデ・アルバレス。若い3人組が強盗目的で盲目の老人宅に家宅侵入したら、あえなく返り討ちにあうという発想が斬新だった『ドント・ブリーズ』(06)で、一躍映画界の注目を浴びた気鋭のフィルムメーカーだ。
実はブロムカンプ版が頓挫したタイミングで、フェデ・アルバレスはスコット・フリー・プロダクションズ(リドリー・スコットが設立した映画製作会社)に、自分の企画を売り込んでいた。彼はフェイバリット・ムービーに、ジョージ・シドニー監督の『血闘』(52)、ロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(89)、パク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』(03)と並んで、『エイリアン』を挙げている。多くの映画監督がそうであるように、彼にとってもこのSFホラーは特別な作品だったのだ。
『エイリアン:ロムルス』(c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
リドリー・スコットとの対談のなかで、そのファースト・コンタクトをこう語っている。
「僕が初めて『エイリアン』を見たのは、実は映画自体ではなくて、ウルグアイのテレビで放送されたものなんだ。(中略)映画の一部を紹介する番組で、モンスターについて少し説明していた。僕はまだ子供で、その映像を見ただけで怖くなっていたよ。(中略)番組で取り上げられていたシーンは、今でも鮮明に覚えている。猫がじっとモンスターを見つめているシーンが本当に印象的だったよ。まるで冷たい目で見ているようで、それが僕の心に残ったんだ」(*3)
フェデ・アルバレスの起用は、理にかなった判断といえる。彼はサム・ライミの名作ホラーをリブートした『死霊のはらわた』(13)、スタッフ・キャストを一新した『ドラゴン・タトゥーの女』(11)の続編『蜘蛛の巣を払う女』(18)で監督を務め、「悪魔のいけにえ」シリーズの9作目『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』(22)では製作・原案を手がけている。ホラー&サスペンス系続編映画の実績が申し分ない人物なのだ。
しかも、エイリアンには視覚がない設定だが、考えてみれば『ドント・ブリーズ』の老人も盲目。“目が見えないモンスターと戦うシリーズの続編”を、27年ぶりに製作するにあたって、フェデ・アルバレスはベスト・チョイスだったのである。