1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. プロメテウス
  4. 『プロメテウス』リドリー・スコット自らエイリアンの世界を復活させた理由と、ギーガーとの思い出
『プロメテウス』リドリー・スコット自らエイリアンの世界を復活させた理由と、ギーガーとの思い出

(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『プロメテウス』リドリー・スコット自らエイリアンの世界を復活させた理由と、ギーガーとの思い出

PAGES


『プロメテウス』あらすじ

科学者エリザベスが、地球上の時代も場所も異なる複数の古代遺跡から共通のサインを発見した。それを知的生命体からの<招待状>と分析した彼女は、巨大企業ウェイランド社が出資した宇宙船プロメテウス号で地球を旅立つ。2年以上の航海を経て未知の惑星にたどり着いたエリザベスは、冷徹な女性監督官ヴィッカーズ、精巧なアンドロイドのデヴィッドらとともに砂漠の大地にそびえ立つ遺跡のような建造物の調査を開始する。やがて遺跡の奥に足を踏み入れたエリザベスは、地球上の科学の常識では計り知れない驚愕の真実を目の当たりにするのだった……。


Index


置き去りにしていたスペースジョッキーへの疑問



 「画家の中には、ただ単に描き始め、描き終えてひとつの作品を完成させる者もいる。またはスケッチから入る者もいる。映画も同じ。骨組みから基盤を作っていく場合、その後、作品が問いかけてくる疑問があらわになる。『エイリアン』(79)の場合が、そうだったんだ」


 リドリー・スコット監督に、『プロメテウス』(12)の製作のきっかけを聞いたとき、返ってきた第一声がこの言葉だった。


 1979年の1作目以来、1997年の4作目までシリーズが続いた『エイリアン』を、どのように継続させるべきか。2002年にリドリー・スコットとジェームズ・キャメロンの間で話し合いがもたれ、リドリーが監督、シガニー・ウィーバーのリプリーが復活することが決まりかけていた。しかし20世紀フォックスが『エイリアンVSプレデター』(04)のプロジェクトを進めていることが発覚し、キャメロンは『エイリアン』の本シリーズから脱退。


 当初は『パラダイス』というタイトルで進んでいた『エイリアン』の最新作で、リドリーが監督を任せようとしたのは、弟のトニー・スコットと設立した製作会社「RSA Films」に所属する、カール・リンシュだった。彼は当時、リドリーの娘、ジョーダンの交際相手であり、その後、娘婿となった存在。完全に“縁故”による抜擢でもあったが、フォックス側がこれを断固、反対。リドリーがメガホンをとることになる。


『プロメテウス』予告


 リドリーにとって『エイリアン』で置き去りにした最大の疑問は「あの椅子に横たわる大きなやつ」。つまりスペースジョッキーの遺骸である。1979年の『エイリアン』を製作する際、スペースジョッキーを出すことについて、20世紀フォックスとリドリーは対立したという。半ば無理やり挿入したあの不気味なクリーチャーが、30年以上を経て新作のモチーフになったわけだ。


 「当初、スペースジョッキーについて、あれはいったい何なのか、質問を投げかけてくる人はいなかった。だから私は黙っていたんだ。しかしその裏には、われわれ人間が生物学の産物か、あるいは神とか高等な地球外生命体とかによって“作られた”存在なのか。そんな疑問を込めた存在であった。だから『プロメテウス』で疑問を解き明かすことにしたのさ」と、リドリーは説明した。


 その結果、『プロメテウス』は、紀元前40億年と思われる時代に、謎の創造主らしき者=エンジニアが現れるシーンで始まる。そこから時間は未来へと移り、2089年の古代遺跡の発見、2093年、宇宙探査船プロメテウス号が惑星に到着し、乗組員と恐るべき生命体の衝撃の戦いへと展開していく。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. プロメテウス
  4. 『プロメテウス』リドリー・スコット自らエイリアンの世界を復活させた理由と、ギーガーとの思い出