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『セント・エルモス・ファイアー』あの頃と友情の確かさを描き、時を超えて感動が甦る

(c)Photofest / Getty Images

『セント・エルモス・ファイアー』あの頃と友情の確かさを描き、時を超えて感動が甦る

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『セント・エルモス・ファイアー』あらすじ

ワシントンD.C.の名門、ジョージタウン大学の同級生7人。卒業後、それぞれが自分の進むべき道を模索していた。ある日、友人の交通事故をきっかけに7人の仲間が久々に顔を合わせる。


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日本のトレンディドラマへの影響も?



 悪天候で海が荒れ、どちらの方向へ行くべきかもわからなくなる船に、ある現象が起こるという。それはマストの先端の“発光”だ。雷雲などの影響で静電気による現象だというが、古くからその不思議な光は水夫たちから「セントエルモス(聖エルモ)の光」と守護聖人の名で呼ばれ、畏怖されてきた。荒海を生き残るために、神が導く光である。


 その『セント・エルモス・ファイアー』をタイトルにした本作は、大学を卒業した社会人一年目の7人のストーリーが展開していく。彼らが例えられるのは、嵐の大海に漂う小さな木の葉。社会に放り出され、まだ未来が定まらず、多くの葛藤や試練に立ち向かう彼らが、セントエルモスの光を頼りに、もがきながら大人への階段を登ろうとする。舞台は、アメリカの首都ワシントンD.C.。名門ジョージタウン大学へ通っていた主人公たちが在学中からことあるごとに集まり、心の拠り所としていたバー・レストランの名が「セント・エルモ」。文字どおり、人生の行く先を導く存在として、劇中にはこのバーが頻繁に登場。7人の中で弁護士志望のカーボ(エミリオ・エステベス)はここでウェイターとして働き、ミュージシャンを目指すビリー(ロブ・ロウ)も店のレギュラー・バンドでサックスを吹く。


 その他の仲間は、文章を書くことに人生を捧げたいケヴィン(アンドリュー・マッカーシー)、建築家としての夢に突き進むレズリー(アリー・シーディ)、彼女と同居し、政治家の秘書の職を得たアレック(ジャド・ネルソン)。学生結婚して子供もいるビリーに密かに想いを寄せるソーシャル・ワーカーのウェンディ(メア・ウィニンガム)、そして一流銀行に就職するも、私生活に問題アリのジュールス(デミ・ムーア)。男性4×女性3というメンバーである。



『セント・エルモス・ファイアー』(c)Photofest / Getty Images


 1980年代のハリウッドでは、ブラット・パックがブームとなっていた。次々と登場した若手スターたちを“集団”として捉えた言葉で、1983年の『アウトサイダー』あたりから、彼らが共演する青春映画が多数誕生。その中でも『セント・エルモス・ファイアー』(85)は、7人の友情と恋愛をテーマにした群像劇ということで、ブラッド・パック映画を象徴する一作となった。同じ1985年の『ブレックファスト・クラブ』も、それぞれ個性が違う5人の高校生のドラマで、こちらは男性3×女性2という割合。『セント・エルモス•ファイアー』で大学卒業直後を演じたエミリオ・エステベス、ジャド・ネルソン、アリー・シーディが、同年の『 ブレックファスト・クラブ』では高校生役を演じた。このようにブラット・パック映画は、キャストがクロスオーバーすることでひとつの潮流を作った。『セント・エルモス・ファイアー』のジョエル・シュマッカー監督のプロダクションオフィスが、『ブレックファスト・クラブ』などのジョン・ヒューズ監督のオフィスと同じ場所にあったので、濃密な交流もあったと察せられる。


 『セント・エルモス・ファイアー』が日本で公開されたのは1986年の2月だったが、その年の7月から日本ではドラマ「男女7人夏物語」が放映され、人気を集めた。トレンディドラマの元祖ともいわれる。明石家さんま、大竹しのぶらが共演し、メイン7人の構成は、男性3×女性4。設定やストーリーは無関係だが、『セント・エルモス・ファイアー』にヒントを得たのでは……と、当時ささやかれたものである。





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