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『コンスタンティン』キアヌ・リーブスの複数の魅力を合流させ、カルトな代表作に

(c)Photofest / Getty Images

『コンスタンティン』キアヌ・リーブスの複数の魅力を合流させ、カルトな代表作に

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コミックを基に主人公のイメージは改変



 ただし『コンスタンティン』は、「ヘルブレイザー」から主人公の設定を受け継いだ映画で、ストーリーはオリジナルだ。屈折した性格をもったアンチヒーローのジョン・コンスタンティンが、超常現象を次々と解決するという「ヘルブレイザー」の基本と主人公の名前を拝借。大酒飲みでチェーンスモーカーという点も受け継がれた。そこから肺ガンで余命1年とされながら、タバコを吸いまくり、酒を飲みまくる映画版のキャラクラーが創造されたのだ。この世に存在しないものが見えることに苦悩し、カトリック教徒なのに自殺を図ったため、天国へ行けなくなったコンスタンティン。「ハーフ・ブリード=半悪魔」という敵を悪魔祓いで倒すことで神に認めてもらおうとする闘いが描かれていく。


 ちなみに『ヘルブレイザー』というタイトルのB級ホラー映画が2022年に製作され、地獄から来た悪魔と人間たちの戦いが描かれたが、タイトルが同じだけでコミック「ヘルブレイザー」の映画化ではない。


 自己中心的な性格で、この世に何の未練もないコンスタンティンは、その時点でキアヌの代表作になっていた『マトリックス』のネオとは一見すると対極の存在だが、仮死状態になると地獄に移動するあたりが、ヴァーチャルの世界で活躍するネオを想起させたりもする。コンスタンティンが着用するスーツコートの黒も、ネオのコスチュームと同系色だ。原作のコンスタンティンは金髪で茶色のコートを愛用している。ネオとの違いを際立たせるため、キアヌが試みたのは原作「ヘルブレイザー」への回帰だった。


『コンスタンティン』(c)Photofest / Getty Images


 「コミックを何冊も読み込んで、コンスタンティンの頭の傾け方、立った時の姿勢などを自分の肉体に記憶させた。それを“鋳型”にして脚本に書かれた感情を理解し、どのように演技するべきかというアプローチだった」とキアヌは語っている。


 キアヌが演じることが決まり、コンスタンティンのキャラクター像が多少変わったことを、脚本家の1人、フランク・A・カペロは次のように打ち明ける。


 「キアヌのキャスティングの時点で脚本の書き替えは少なかったが、彼によってスピリチュアルなキャラクターに変貌した気がする。コミックの中のコンスタンティンは、スピリチュアルという形容にはほど遠いんだ」


 こちらも原作からの印象の変化であろう。『リトル・ブッダ』(93)でのキアヌのイメージが、そうさせたのかもしれない。


 また原作のコンスタンティンには、バイセクシュアル的な要素も込められている。映画になった『コンスタンティン』も、たしかに男性同士に濃密な空気が漂うシーンもあるのだが、悪魔や天使のストーリーに集中するので、主人公の恋愛感情、性的な部分は希薄になる。そこからセクシュアリティが曖昧な印象も導かれるのだろう。この点でキアヌのフィルモグラフィーで想起されるのが『マイ・プライベート・アイダホ』である。





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