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サイバーSFの革命児『マトリックス』の先進的視覚スタイルを回想する

(c)Photofest / Getty Images

サイバーSFの革命児『マトリックス』の先進的視覚スタイルを回想する

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 『マトリックス』(99)が公開されて、早や20年以上が経つ。公開当時に生まれた子が成人となる歳月を経て、この映画の先進性は今やスタンダードとなり、本作において何が驚異だったのかを意識していない世代も占めてきた。監督のラリー&アンディ・ウォシャウスキー(現・ラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹)は、独創的なサイバースペース(仮想空間)の概念を生み出し、地球上にある人間や社会生活の概念をひっくり返すような物語を展開。AIに支配された人類を、覚醒した救世主が解放へ導こうとするヒーローモデルを形成し、同年に復活した『スター・ウォーズ』(『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』)を旧時代のコンテンツだと錯覚させるほど、その表現は斬新さに満ち溢れていたのだ。


『マトリックス』予告


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香港アクション映画からのスタイル流入



 そんな『マトリックス』で印象深いのは、サイバー領域において時間や空間の制限を受けない、ダイナミックな視覚描写の数々だろう。


 本作では先述した設定の性質上、重力にとらわれないアクション表現が要求された。そこでウォシャウスキーズが手段のひとつとして採ったのは、香港のカンフー映画で活用されていたワイヤーワークに着目し、第一人者であるユエン・ウーピン(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』(92))をアクション・コレオグラファーとしてプロジェクトに招き入れたことだ。結果、宙に浮いた状態で何度も蹴り足を繰り出す無影脚や、体を側転させて壁を走る香港映画のアクションスタイルを、アメリカの観客にもたらしたのだ。



『マトリックス』(c)Photofest / Getty Images


 またキアヌ・リーブス演じる主人公・ネオや、キャリー=アン・モス扮する女戦士・トリニティーらがダブルハンドで銃を構えるスタイルも、『男たちの挽歌』(86)『狼 男たちの挽歌・最終章』(89)などの香港ネオノワール映画を牽引してきた名匠、ジョン・ウー監督からの影響が色濃く出ている。なによりウー作品ということでは、一瞬の出来事を変速で引き延ばすことによって、ドラマチックな視覚的効果を生み出すスローモーションも、その影響が顕著に見られ、サイバースペースがもたらす時間からの解放を端的に表現している。




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