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『ネメシス』知る人ぞ知るB級SFアクションの名品!「未来感のない未来」と独特のアクションシーンで作り上げた唯一無二の世界観

NEMESIS (c)SCANBOX DANMARK A/S MCMXCII All Rights Reserved. (c)1992, (c)2018 IMPERIAL ENTERAINMENT CORP. All Rights Reserved. (c)2018 MOONSTONE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

『ネメシス』知る人ぞ知るB級SFアクションの名品!「未来感のない未来」と独特のアクションシーンで作り上げた唯一無二の世界観

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『ネメシス』あらすじ

2027年のロサンゼルス、地球上は荒廃し、人工臓器の開発により身体をサイボーグ化する技術が普及し、負傷した身体の一部をサイボーグ化することが普通になっていた。 ロボット工学関連の犯罪専門のLA市警捜査官、アレックス・レイン(オリヴィエ・グラナー)も身体の一部をサイボーグ化され、犯罪者を射殺するため奔走していた。ある日、アレックスはデータチップを盗んだ女性サイボーグを葬った直後、仲間のテロリストグループと銃撃戦となるが、彼らは人類の未来を守るため機械と戦っていると聞かされるのだった。重傷を負い意識を失ったアレックスは、再び手術を受けて身体の大半をサイボーグ化される。その後、仕事に嫌気が差し警官を辞めコンピューター・チップの密売人に身を落としたアレックスは、手術の際、彼の心臓に植え付けられた爆弾のために、起動スイッチを握る元上司ファーンズワース長官(ティム・トマーソン)から、5年前に統合されたアメリカ大統領と日本の内閣総理大臣による会合の警備プランデータの入ったチップを元恋人ジャード(マージョリー・モナハン)から取り戻すという命令だった・・・。


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B級映画の雄、アルバート・ピュン監督



 『ネメシス』(92)と聞いてピンと来る方は筆者と同じ40代以上の映画ファンではあるまいか。低予算で作られたB級SFで、スターも出演していないから知名度は低い。しかし『ネメシス』は、CG技術が映像表現を席巻する以前の映画の良質な部分を濃縮した、得難い作品だ。


 未見の方も是非、この「いびつな傑作」に触れて頂きたい。「いびつ」と書いたのは、それこそが『ネメシス』の魅力の本質だからだ。その話の前にまずは、本作をクリエイトした監督のアルバート・ピュンがどんな人物なのか確認しておこう。英語版ウィキペディアで彼はこう紹介されている。


 「多くの低予算B級映画やビデオストレート(ビデオスルー)のアクション映画を制作したことで最も有名なアメリカの映画監督」


 ピュン監督は40年ほどのキャリアで50本以上の映画を監督。SFやアクションを得意とし、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『サイボーグ』(89)などのヒット作で知られている。81年から監督として活躍しているが、それ以前はなんと黒澤明の『デルス・ウザーラ』(75)の現場で映画製作を学んでおり、日本映画とも縁浅からぬ人物だ。


『ネメシス』予告


 B級映画の製作現場では『早く、安く』が何よりも求められるが、ピュンの早撮りは驚異的なことで知られ、しかも彼自身が脚本を書けることから、ハリウッドでは大変重宝された監督だった。そんなピュンが自らの脚本で、世に問うた自信作こそが『ネメシス』だ。彼はこう語っている。


 「ウィリアム・ギブソンのサイバーパンクの世界を意識して作った。当時そのジャンルの映画は『ブレードランナー』(82)くらいで他にはなかった。だから、その世界観の作品を撮りたかったんだ。そこにはテクノロジーや哲学に関する興味深いテーマが詰まっていたんだ」


 『ブレードランナー』のような哲学性を内包しながら、より激しいアクションで見せ場を作っていくという構想で作品はスタートした。こう書くとかなり雰囲気の良い高尚な映画なのか?と思えるが、実はそうでもない。確かに哲学的な問いのようなものも存在するのだが、そんなものを吹き飛ばし、観客の記憶に刻み込まれるのは、そのユニークな銃撃戦だったからだ。



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