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『ネメシス』知る人ぞ知るB級SFアクションの名品!「未来感のない未来」と独特のアクションシーンで作り上げた唯一無二の世界観

NEMESIS (c)SCANBOX DANMARK A/S MCMXCII All Rights Reserved. (c)1992, (c)2018 IMPERIAL ENTERAINMENT CORP. All Rights Reserved. (c)2018 MOONSTONE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

『ネメシス』知る人ぞ知るB級SFアクションの名品!「未来感のない未来」と独特のアクションシーンで作り上げた唯一無二の世界観

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『ターミネーター2』のロケ地をちゃっかり再利用



 ネメシスは2027年という未来を舞台にしていながら、未来世界の景観はほぼ出てこない。ロケ地として選ばれたのは、砂丘、19世紀の刑務所跡、西部劇のオープンセット、ハワイのジャングル、という場所ばかりだった。


 ピュン監督は「近未来SFでありながら、登場する場所は全て古めかしい」というコンセプトだと語っているが、端的に言えば予算削減のためだろう。まだCG技術が使われはじめたばかりの90年代初頭、未来的な意匠を映像化しようとすれば製作費の大半をそこにかけなければならない。しかしそれではアクションが撮れなくなる。だからロケ地は全て、ありもののオープンセットや廃墟を利用し、頽廃的な未来の空気を醸し出そうという作戦だった。



『ネメシス』NEMESIS (c)SCANBOX DANMARK A/S MCMXCII All Rights Reserved. (c)1992, (c)2018 IMPERIAL ENTERAINMENT CORP. All Rights Reserved. (c)2018 MOONSTONE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.


 唯一SF的な場所は冒頭の銃撃戦で登場する街の廃墟だが、このロケ地、実は『ターミネーター2』(91)で未来の戦争シーンに使われたカイザー製鉄所という場所だった。そこには『ターミネーター2』の撮影のために爆破された大量の残骸が残されており、それを『ネメシス』はまんまと再利用してしまったのだ。 このようなロケ地に関する工夫は、『ネメシス』に独特な世界観を付与することに成功しており、予算面と表現面で見事なバランスを獲得した好例と言えるだろう。


 さらに撮影では早撮りのために2台のカメラを駆使した。あるシーンの撮影中に、次のシーンにもう一台のカメラをスタンバイさせセッティング。前のシーンを撮り終わると、監督が号令をかけて移動、数分後には次のシーンを撮り始めていた。そのため役者は意識がなかなか追いつかず、今自分が何のシーンを演じているのか混乱したという。


 また、低予算映画ならではのゲリラ撮影も敢行した。ピュン監督はロスにある実際の魚市場で撮影をしたいと考えていたが、撮影許可を得るためには数万ドルの費用がかかる。もちろんそんな金は無かった。



『ネメシス』NEMESIS (c)SCANBOX DANMARK A/S MCMXCII All Rights Reserved. (c)1992, (c)2018 IMPERIAL ENTERAINMENT CORP. All Rights Reserved. (c)2018 MOONSTONE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.


 「撮影スタッフは地下にあるトイレに集合し、分解したカメラ機材をその場で組み立てたよ。そして地下から無線でやり取りしてキューを出すと俳優たちが魚市場を走り抜ける。撮影スタッフは地上に出て俳優の演技を撮影した後、待たせていた車で逃げるんだ。これが私たちの考えた計画だったが、警備員に計画を見破られてすぐに捕まってしまったよ(笑)」


 さらには道端で知り会った老女にいきなり出演交渉、彼女に銃を持たせてサイボーグを撃ち殺すというかなり重要なシーンも即興で撮り上げてしまった。



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